ウェブページを作成する際、HTMLの要素にスタイルを当てたり、特定の振る舞いを持たせたりするために「クラス」は欠かせない存在です。特に、一つの要素に複数のデザインや機能を組み合わせたいと考えたとき、「html クラス 複数」というキーワードで検索された方も多いのではないでしょうか?この記事では、HTMLでクラスを複数指定する基本的な方法から、それによってCSSのスタイリングがどのように変わるのか、特に「複数 優先順位」のルールや「クラス指定 入れ子」といった少し複雑な概念まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
また、「複数 効かない・反映されない」といったトラブルの原因と対処法、クラスと混同しやすい「id 複数 どうなる?」という疑問、さらには「複数のクラスに同じ設定」を効率的に行う方法や、「クラスの中のクラス 指定」といった具体的なCSSセレクタのテクニックも網羅します。「bodyタグを二つ使っても大丈夫?」といったHTMLの基本的ながら重要なルールについても触れていきますので、HTMLとCSSの理解を一段深めたい方はぜひご一読ください。
この記事を読むことで、あなたは以下のポイントを理解できるようになります。
- HTMLで一つの要素に複数のクラスを正しく指定する方法
- 複数のクラスがCSSのスタイル適用順序(優先順位)にどう影響するか
- クラス指定が効かない場合の一般的な原因とチェックポイント
- クラスとIDの使い分け、特にIDの複数指定に関する注意点
HTMLでクラスを複数指定する基本とCSSの適用方法

HTMLでウェブページを作成する際、要素にスタイルを適用したり、JavaScriptで操作したりするために「クラス」は非常に重要な属性です。特に、一つの要素に複数の役割やデザインを持たせたい場合、「html クラス 複数」指定のテクニックが役立ちます。
この章では、HTMLでクラスを複数指定する基本的な書き方から、それによってどのようなメリットが得られるのか、そしてCSSとの連携方法について詳しく解説します。CSSの優先順位や入れ子構造についても触れていきますので、基本をしっかりと押さえましょう。
- HTMLにおけるクラス複数指定の書き方とメリット
- 複数のクラスへ同じCSS設定をスマートに適用するテクニック
- CSSにおける複数クラス指定とスタイルの優先順位
- HTMLクラス指定における入れ子(ネスト構造)の正しい理解
- CSSでクラスの中のクラスを的確に指定する方法
- HTMLのbodyタグを二つ記述しても大丈夫?その影響は?
HTMLにおけるクラス複数指定の書き方とメリット

HTMLの要素に複数のクラスを指定する方法は非常にシンプルです。class属性の値として、各クラス名をスペースで区切って記述するだけです。例えば、<div class="class1 class2 class3"></div>
のように記述します。このように複数のクラスを指定することには、いくつかのメリットがあります。
まず、CSSの管理がしやすくなる点が挙げられます。共通のスタイルを持つクラスと、特定の要素だけに適用したいスタイルを持つクラスを組み合わせることで、スタイルの再利用性が高まり、CSSの記述量を減らすことができます。例えば、「ボタンの基本スタイル」を持つ.btn
クラスと、「警告色」のスタイルを持つ.warning
クラスを定義しておけば、<button class="btn warning">警告ボタン</button>
のように指定するだけで、両方のスタイルを適用できます。
次に、JavaScriptでの要素の選択や操作が柔軟になる点もメリットです。複数のクラス名を手がかりに、より複雑な条件で要素を取得したり、特定の状態を表すクラスを動的に追加・削除したりすることが容易になります。これにより、インタラクティブなウェブページの開発効率が向上します。
このように、HTMLでクラスを複数指定するテクニックは、効率的でメンテナンス性の高いウェブ制作において不可欠な知識と言えるでしょう。
複数のクラスへ同じCSS設定をスマートに適用するテクニック

ウェブサイトを制作する際、異なる要素群だけれども、部分的に共通のデザインや機能を持たせたい、という場面はよくあります。このような時、複数のクラスに対して同じCSS設定を効率的に適用する方法を知っていると、コードの重複を避け、メンテナンス性を大幅に向上させることができます。
最も基本的な方法は、CSSセレクタで複数のクラスをカンマ(,
)で区切って列挙することです。例えば、.important-text
と .highlight-area
という二つのクラスに同じ文字色と背景色を設定したい場合、以下のように記述します。
.important-text, .highlight-area {
color: #ff0000;
background-color: #ffffdd;
}
この方法により、同じスタイル定義を何度も書く必要がなくなり、CSSファイル全体がスリムになります。また、将来的にこの共通スタイルを変更したい場合も、一箇所を修正するだけで済むため、修正漏れのリスクを減らすことができます。
さらに、SassのようなCSSプリプロセッサを使用している場合は、@extend
ディレクティブやミックスイン(mixin)といった機能を活用することで、より高度で柔軟な共通スタイルの管理が可能です。例えば、あるクラスのスタイルを別のクラスに継承させたり、引数を取ることができるスタイルセットを定義して再利用したりすることができます。
これらのテクニックを駆使することで、複数のクラスに同じCSS設定をスマートに適用し、より効率的で読みやすいコードベースを構築することができるでしょう。
CSSにおける複数クラス指定とスタイルの優先順位

HTML要素に複数のクラスが指定された場合、それぞれのクラスに定義されたCSSスタイルがどのように適用されるかは、CSSの「詳細度(Specificity)」と「記述順序」という二つの主要なルールによって決まります。これらのルールを理解することは、意図した通りにスタイルを適用させるために非常に重要です。
まず、詳細度についてです。CSSセレクタには、その種類によって優先順位が定められています。一般的に、idセレクタ (#id
) はクラスセレクタ (.class
) よりも優先され、クラスセレクタは要素型セレクタ (div
, p
など) よりも優先されます。複数のクラスが指定された要素に対して、異なるクラスセレクタで同じプロパティが指定されている場合、基本的にはそれぞれのクラスセレクタの詳細度は同等です。
CSSセレクタの詳細度の一般的な順序(高→低)
!important
が指定されたスタイル- インラインスタイル (
style="..."
) - IDセレクタ (
#example
) - クラスセレクタ (
.example
)、属性セレクタ ([type="text"]
)、擬似クラス (:hover
) - 要素型セレクタ (
div
,p
)、擬似要素 (::before
) - 全称セレクタ (
*
)、結合子 (+
,>
,~
, )、否定擬似クラス (:not()
)自体は詳細度に影響しないが、その引数内のセレクタは影響する。
複数のクラスが指定されている場合、それぞれのクラスセレクタのCSSプロパティが競合することがあります。例えば、<div class="text-red bg-blue"></div>
という要素があり、CSSで以下のように定義されているとします。
.text-red { color: red; }
.bg-blue { background-color: blue; }
.text-green { color: green; } /* この要素には適用されない */
この場合、color: red;
と background-color: blue;
が適用されます。もし、.text-red
と .another-class
の両方で color
プロパティが指定されていた場合、どちらのスタイルが適用されるかは、次に説明する「記述順序」が関係してきます。
詳細度が全く同じセレクタ間でスタイルが競合した場合、CSSファイル内でより後方に記述されたスタイルが優先されます。例えば、
.classA { color: blue; }
.classB { color: red; }
というCSS定義があり、HTML要素が <div class="classA classB"></div>
であった場合、color: red;
が適用されます。もし順番が逆で、
.classB { color: red; }
.classA { color: blue; }
となっていた場合は、color: blue;
が適用されます。
これを理解した上で、意図しないスタイルの上書きを防ぐためには、CSSの設計段階で命名規則を工夫したり、スタイルの適用範囲を明確にしたりすることが大切です。また、ブラウザの開発者ツールを使って、実際にどのスタイルがどの要素に適用されているか、そしてなぜそのスタイルが優先されているのかを確認する習慣をつけることも、CSSのスキルアップに繋がります。
HTMLクラス指定における入れ子(ネスト構造)の正しい理解

HTMLでは、要素を入れ子にして階層構造を作ることが一般的です。この入れ子構造とクラス指定を組み合わせることで、より具体的で限定的な範囲にCSSスタイルを適用したり、JavaScriptで要素を操作したりすることが可能になります。
「クラス指定における入れ子」とは、親要素に指定されたクラスと、その子孫要素に指定されたクラスの関係性を指します。例えば、以下のようなHTML構造があったとします。
<div class="outer-box">
<p class="inner-text">これは内側のテキストです。</p>
<div class="inner-box">
<p class="inner-text">これも内側のテキストですが、場所が違います。</p>
</div>
</div>
この例では、div
要素に outer-box
というクラスが指定され、その内部にある p
要素や div
要素に inner-text
や inner-box
といったクラスが指定されています。
CSSでこれらの要素にスタイルを適用する際、この入れ子構造を利用してセレクタを記述することができます。例えば、「.outer-box
クラスの要素の直接の子である .inner-box
クラスの要素」だけを対象にしたい場合は、子セレクタ(>
)を用いて .outer-box > .inner-box
のように記述します。また、「.outer-box
クラスの要素の内部にあるすべての .inner-text
クラスの要素」を対象にしたい場合は、子孫セレクタ(半角スペース)を用いて .outer-box .inner-text
のように記述します。
このようなセレクタの書き方をすることで、同じクラス名がページの他の場所で使われていたとしても、特定の構造内にある要素だけに限定してスタイルを適用できます。これにより、スタイルの衝突を避け、より予測可能で管理しやすいCSS設計が可能になります。
ただし、セレクタのネストが深くなりすぎると、CSSの詳細度が高くなりすぎてしまい、後からの修正が難しくなったり、意図しないスタイルが優先されてしまう原因にもなり得ます。そのため、適切な範囲でネストを利用し、BEM(Block, Element, Modifier)のような命名規則と組み合わせて使うことで、より堅牢なCSSを構築することが推奨されます。
CSSでクラスの中のクラスを的確に指定する方法

HTMLの入れ子構造(ネスト構造)において、特定のクラスが付けられた要素の「中にある」、別のクラスが付けられた要素に対してCSSでスタイルを適用したい場面は頻繁にあります。これを「クラスの中のクラスを指定する」と表現することができ、CSSセレクタの組み合わせによって実現します。
主な指定方法は以下の2つです。
- 子孫セレクタ(半角スペース): 親要素のクラス名の後に半角スペースを空け、子孫要素のクラス名を書きます。これにより、親クラス要素の「内部にあるすべて」の子孫クラス要素が対象となります。階層の深さは問いません。 例:
.parent-class .child-class { ... }
この場合、<div class="parent-class"> ... <p class="child-class">対象</p> ... </div>
のように、何階層下にあっても.child-class
は選択されます。 - 子セレクタ(
>
): 親要素のクラス名の後に>
を書き、子要素のクラス名を書きます。これにより、親クラス要素の「直接の子である」子クラス要素のみが対象となります。 例:.parent-class > .child-class { ... }
この場合、<div class="parent-class"> <p class="child-class">対象</p> </div>
は選択されますが、<div class="parent-class"> <div> <p class="child-class">対象外</p> </div> </div>
の中の.child-class
は選択されません。
どちらのセレクタを使用するかは、スタイルの適用範囲をどれだけ限定したいかによって決まります。より広範囲の子孫要素にスタイルを適用したい場合は子孫セレクタを、直接の子要素だけに限定したい場合は子セレクタを選択します。
例えば、商品リストがあり、その中の特定のカード(.product-card
)に含まれる価格表示部分(.price
)だけ文字色を赤にしたい、というケースを考えます。
<div class="product-list">
<div class="product-card">
<h3 class="product-name">商品A</h3>
<p class="price">1,000円</p>
</div>
<div class="another-section">
<p class="price">参考価格: 1,200円</p> </div>
</div>
.product-card .price {
color: red; /* product-cardクラス内のpriceクラスに適用 */
}
このように子孫セレクタを使用することで、.product-list
内であっても .product-card
の外にある .price
クラスには影響を与えずに、目的の要素だけにスタイルを適用できます。
セレクタの組み合わせを理解し、適切に使い分けることで、CSSによるスタイリングの自由度と正確性が格段に向上します。
HTMLのbodyタグを二つ記述しても大丈夫?その影響は?

結論から申し上げますと、HTMLの仕様上、一つのHTML文書内に<body>
タグを二つ記述することはできませんし、すべきではありません。HTMLの基本的な構造として、<html>
タグの直下には<head>
タグと<body>
タグがそれぞれ一つずつ配置されるのが正しい形式です。
<body>
タグは、ブラウザで実際に表示されるコンテンツ全体を囲むためのものであり、文書の「本体」を定義します。この本体が二つ存在するということは、文書構造として矛盾しており、ブラウザがどのように解釈・表示すべきか混乱を招く原因となります。
もし誤って<body>
タグを複数記述してしまった場合、ブラウザはエラーとして解釈しようと試みますが、その挙動はブラウザによって異なる可能性があり、予期せぬ表示崩れや機能不全を引き起こすことがあります。具体的には、後から記述された<body>
タグの内容が無視されたり、あるいは意図しない形でレンダリングされたりするかもしれません。
HTMLバリデーター(構文チェックツール)を使用すれば、このような基本的な構造エラーは容易に検出できます。W3CのMarkup Validation Serviceなどが有名です。
コンテンツを構造的に分けたい場合は、<body>
タグを複数使うのではなく、<div>
タグや<section>
タグ、<article>
タグといったセクショニング・コンテンツ要素を<body>
タグの内部で適切に使用し、それぞれにクラスやIDを付与してCSSやJavaScriptで制御するのが正しいアプローチです。
例えば、ページの上部と下部で大きくレイアウトを変えたい場合でも、以下のように<body>
タグは一つにし、その内部で<div>
などを使って構造化します。
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>正しいHTML構造</title>
</head>
<body>
<header class="page-header">
</header>
<main class="main-content">
</main>
<footer class="page-footer">
</footer>
</body>
</html>
このように、HTMLの基本的なルールを守ることは、ウェブサイトのアクセシビリティ、SEO、そしてブラウザ間の互換性を保つ上で非常に重要です。body
タグは必ず一つだけ使用するようにしましょう。
HTMLクラス複数が効かない時の原因と解決策、応用テクニック

HTMLでクラスを複数指定したにもかかわらず、期待通りにCSSが適用されない、あるいはJavaScriptでうまく要素を扱えないという問題は、ウェブ制作の初期段階でしばしば遭遇する壁の一つです。この章では、「html クラス 複数」の指定が効かない、または反映されないといった場合の主な原因と、その具体的な解決策について掘り下げていきます。また、クラスと混同されがちなid属性の複数指定に関する挙動や、CSSの優先順位をより深く理解することで、これらの問題を未然に防ぎ、クラスの複数指定をさらに効果的に活用するための応用テクニックについても解説します。
- ・HTMLで指定した複数のクラスが効かない・反映されない場合のチェックポイント
- ・HTMLでid属性を複数指定するとどうなる?クラスとの違い
- ・CSSの優先順位を理解してHTMLのクラス複数指定を制御する
- ・HTMLでクラスを複数指定する際の詳細度と注意点
- ・応用編:HTMLクラス複数指定の便利な使い方
- ・JavaScriptから見たHTMLのクラス複数指定の操作
- ・HTMLクラス複数指定の理解を深めるための総まとめ
HTMLで指定した複数のクラスが効かない・反映されない場合のチェックポイント

HTML要素に複数のクラスを指定したにも関わらず、期待したCSSスタイルが適用されない、または一部しか反映されないという状況は、多くのウェブ制作者が経験する問題です。このような場合、慌てずに以下のチェックポイントを確認することで、原因を特定しやすくなります。
まず最初に確認すべきは、HTMLのクラス名の記述ミスです。クラス名はスペースで区切って指定しますが、カンマ(,
)やピリオド(.
)など、誤った区切り文字を使用していないか確認しましょう。また、クラス名の大文字・小文字がCSSの定義と一致しているかも重要です。CSSのクラスセレクタは通常、大文字と小文字を区別します。
次に、CSS側のセレクタの記述が正しいかを確認します。クラスセレクタはドット(.
)から始まります。例えば、my-class
というクラスに対してスタイルを定義する場合は、.my-class
と記述します。複数のクラスを組み合わせたセレクタ(例:.class1.class2
※間にスペースなし)を使用している場合は、その要素が実際に両方のクラスを持っているか確認が必要です。
CSSの優先順位(詳細度)も大きな要因です。より詳細度の高い他のセレクタ(例: IDセレクタ、!important
指定のあるスタイル、より具体的な複合セレクタ)によって、目的のクラスのスタイルが上書きされている可能性があります。ブラウザの開発者ツール(多くのブラウザでF12キーで起動)の要素検査機能を使えば、どのスタイルが実際に適用され、どのスタイルが上書きされているかを視覚的に確認できます。これは非常に強力なデバッグツールです。
また、CSSファイルが正しくHTMLファイルから読み込まれているかも基本的なチェックポイントです。<link>
タグのhref
属性のパスが正しいか、ファイル名に誤りがないかを確認してください。キャッシュが原因で古いCSSが読み込まれている場合もあるため、スーパーリロード(Ctrl+Shift+R や Cmd+Shift+R)を試してみるのも有効です。
稀なケースですが、HTMLの文法エラーが原因でブラウザが正しく要素を解釈できず、結果としてクラスが効かないこともあります。HTMLバリデーターで構文エラーがないか確認することも推奨されます。
これらのポイントを一つずつ丁寧に確認していくことで、「複数のクラスが効かない・反映されない」問題の多くは解決できるはずです。
HTMLでid属性を複数指定するとどうなる?クラスとの違い

HTMLにおいて、id
属性はページ内で特定の要素を一意に識別するためのものです。CSSでスタイルを適用したり、JavaScriptで特定の要素を操作したりする際の目印として非常に重要な役割を果たします。
結論から言うと、HTMLの仕様上、一つのHTML文書内で同じid
属性の値を複数の要素に指定することはできません。id
属性の値は、そのページ内でユニーク(一意)でなければならないと定められています。もし複数の要素に同じid
名を付けてしまうと、それはHTMLの文法エラーとなります。
では、もし誤って複数の要素に同じid
を指定してしまった場合、ブラウザはどのように振る舞うのでしょうか。 CSSの観点では、多くのブラウザは最初に登場したそのid
を持つ要素、あるいは最後に登場した要素など、特定のルールに基づいてスタイルを適用しようと試みますが、その挙動はブラウザによって異なる可能性があり、予測不可能です。つまり、意図した通りにスタイルが適用されないリスクが高まります。 JavaScriptの観点では、document.getElementById()
メソッドは、指定されたid
を持つ最初の要素のみを返します。そのため、同じid
が複数存在する場合、2つ目以降の要素をこのメソッドで直接取得することはできません。
これに対して、class
属性は、複数の要素に同じクラス名を指定することができます。クラスは、要素の「分類」や「種類」を示すものであり、同じスタイルや振る舞いを複数の要素にまとめて適用したい場合に用います。これがid
とclass
の最も大きな違いの一つです。
以下の表に主な違いをまとめます。
特徴 | id 属性 | class 属性 |
---|---|---|
ページ内での一意性 | 必要(同じID名は1つのみ) | 不要(同じクラス名を複数の要素に使用可能) |
主な用途 | 特定の要素を一位に識別、ページ内リンクのアンカー | 複数の要素に共通のスタイルや機能を適用、要素の分類 |
CSSセレクタ | #id-name | .class-name |
JavaScriptでの取得 | document.getElementById('id-name') | document.getElementsByClassName('class-name') |
詳細度 | 高い | IDより低い |
Google スプレッドシートにエクスポート
したがって、特定の単一の要素を指し示したい場合はid
を、複数の要素に共通の特性を持たせたい場合はclass
を使用するのが適切な使い分けです。そして、id
はページ内で決して重複させてはいけません。
CSSの優先順位を理解してHTMLのクラス複数指定を制御する

HTML要素に複数のクラスを指定した場合、それぞれのクラスに定義されたCSSスタイルがどのように適用されるかは、CSSの「優先順位」のルールによって決定されます。この優先順位を正しく理解し、意識してCSSを記述することで、意図しないスタイルの上書きを防ぎ、複雑なデザインも効果的に制御することができます。
CSSの優先順位は、主に以下の3つの要素で決まります。
- 詳細度 (Specificity): どのセレクタがより「具体的」であるかを示す指標です。詳細度が高いセレクタほど優先されます。
- インラインスタイル (
style="..."
) が最も詳細度が高いです。 - 次にIDセレクタ (
#my-id
) が高いです。 - クラスセレクタ (
.my-class
)、属性セレクタ ([type="text"]
)、擬似クラス (:hover
) はIDセレクタより低いです。 - 要素型セレクタ (
div
,p
)、擬似要素 (::before
) はさらに低いです。 - 全称セレクタ (
*
) や結合子 (+
,>
,~
, ) は詳細度の計算には直接寄与しません。
.classA
と.classB
があり、CSSで.classA { color: red; }
と.classA.classB { color: blue; }
が定義されていれば、後者のセレクタ (.classA.classB
) の方がクラスセレクタが2つ分あり詳細度が高いため、color: blue;
が適用されます。 - インラインスタイル (
- 記述順序 (Source Order): 詳細度が全く同じセレクタ間でスタイルが競合した場合、CSSファイル内でより後方に記述されたスタイルが優先されます。 例えば、 CSS
.highlight { background-color: yellow; } .important { background-color: orange; }
という順でCSSが記述されており、HTML要素が<div class="highlight important"></div>
であった場合、background-color: orange;
が適用されます。もしCSSの記述順が逆であれば、background-color: yellow;
が適用されます。 !important
宣言: CSSプロパティの値の後に!important
を付けると、そのスタイルは詳細度や記述順序に関わらず、他の通常の宣言よりも最優先で適用されます。 例:.urgent { color: red !important; }
!important
は非常に強力なため、多用するとスタイルの管理が困難になり、予期せぬ副作用を生むことがあります。基本的には最終手段として、限定的な状況でのみ使用することが推奨されます。
HTMLでクラスを複数指定する際には、これらの優先順位のルールが常に働いていることを意識する必要があります。特に、汎用的なスタイルを提供するクラス(例: レイアウト用クラス)と、特定の見た目を調整するクラス(例: 色や装飾用クラス)を組み合わせる場合、どちらのスタイルを優先させたいかを考慮してCSSを設計することが重要です。ブラウザの開発者ツールは、どのスタイルがどのルールによって適用されているかを確認するのに非常に役立ちます。
HTMLでクラスを複数指定する際の詳細度と注意点

HTML要素に複数のクラスを指定する機能は、CSSによるスタイリングの柔軟性を高める強力な手段ですが、その挙動を正しく理解し、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。特に「詳細度(Specificity)」は、複数のクラスや他のセレクタからのスタイルが競合した際に、どのスタイルが最終的に適用されるかを決定する上で中心的な役割を果たします。
詳細度とは、CSSセレクタがどれだけ具体的に要素を指し示しているかを示す値です。複数のクラスが一つの要素に指定されている場合、それぞれのクラスセレクタ自体は通常、同じ詳細度を持ちます。しかし、CSSのルールセットがどのように書かれているかによって、実質的な優先順位が変わってきます。
例えば、<div class="btn btn-primary"></div>
という要素があったとします。 CSSが以下のように定義されている場合:
.btn {
padding: 10px;
border: 1px solid #ccc;
}
.btn-primary {
background-color: blue;
color: white;
}
この場合、.btn
と .btn-primary
はそれぞれ独立してスタイルを適用しようとします。プロパティが競合していなければ、両方のスタイルがマージされて適用されます。
注意点として、以下のようなケースが考えられます。
- プロパティの競合と記述順序: もし
.btn
と.btn-primary
の両方で同じCSSプロパティ(例:background-color
)が定義されていた場合、詳細度が同じであれば、CSSファイル内でより後方に記述されたルールが優先されます。これは「後に書いたものが勝つ」という原則です。 - 複合セレクタによる詳細度の変化: 単一のクラスセレクタ(例:
.btn
)よりも、複数のクラスを結合したセレクタ(例:.btn.btn-primary
※ドット間にスペースなし)の方が詳細度が高くなります。 CSS.btn { color: black; } .btn-primary { color: blue; } /* ここまでは .btn-primary が優先 */ .btn.text-dark { color: gray; } /* btn と text-dark を両方持つ場合、これが優先 */
もし<div class="btn btn-primary text-dark">
であれば、color: gray;
が適用される可能性が高いです(他の競合がなければ)。 !important
の影響: いずれかのクラスのスタイル定義に!important
が使用されていると、そのスタイルは詳細度の計算をほぼ無視して最優先されます。!important
は非常に強力ですが、多用するとCSSの予測性や保守性を著しく低下させるため、使用は最小限に留めるべきです。- クラス名の管理: 複数のクラスを使用する場合、クラス名の命名規則(例: BEM)を導入することで、それぞれのクラスがどのような役割を持つのか、どの要素に影響を与えるのかが明確になり、意図しないスタイルの衝突を避けやすくなります。
- 過度な具体性: セレクタが過度に具体的(例:
div#main-content > ul.product-list li.item > a.link
のように非常に長いセレクタ)になると、詳細度が高くなりすぎて、後からスタイルを上書きするのが困難になることがあります。適切なバランスが求められます。
これらの点を理解し、ブラウザの開発者ツールを活用しながらCSSを記述することで、HTMLのクラス複数指定を効果的に使いこなし、メンテナンス性の高いウェブサイトを構築することができます。
応用編:HTMLクラス複数指定の便利な使い方

HTMLでクラスを複数指定する基本的な方法を理解すると、次はそれをどのように応用して、より効率的で洗練されたウェブデザインや開発を行えるかという点が気になるところでしょう。ここでは、クラス複数指定の便利な応用例をいくつか紹介します。
- 状態(State)の表現: 要素の現在の状態をクラスで表現するのは非常に一般的なテクニックです。例えば、ナビゲーションメニューの項目が現在アクティブであることを示すために
.is-active
クラスを追加したり、フォームの入力欄がエラー状態であることを示すために.has-error
クラスを追加したりします。 HTML例:<li class="nav-item is-active"><a href="#">ホーム</a></li>
JavaScriptと組み合わせることで、ユーザーのアクションに応じてこれらの状態クラスを動的に付け外しし、見た目や動作を変化させることができます。 - バリエーション(Variation)の作成: 基本的なコンポーネントに対して、少し異なる見た目や振る舞いのバリエーションをクラスで簡単に作ることができます。例えば、ボタンコンポーネントを考えます。 基本クラス:
.btn
(基本的なパディング、ボーダーなど) サイズバリエーション:.btn-small
,.btn-large
カラーバリエーション:.btn-primary
,.btn-secondary
,.btn-danger
HTML例:<button class="btn btn-primary btn-large">送信</button>
<button class="btn btn-secondary btn-small">キャンセル</button>
このように、ベースとなるスタイルを.btn
で定義し、追加のクラスで特定の側面を上書きまたは拡張することで、コードの再利用性を高めつつ多様な表現が可能になります。これはBEM(Block, Element, Modifier)のようなCSS設計手法でも推奨されるアプローチです。 - ユーティリティクラス(Utility Classes)の活用: 特定の単一のCSSプロパティだけを当てるような、小さな目的のクラスを「ユーティリティクラス」または「ヘルパークラス」と呼びます。これらを複数組み合わせることで、HTML内で直接的に細かいスタイリングを制御できます。 例:
.text-center
{ text-align: center; }.mt-1
{ margin-top: 1rem; }.p-2
{ padding: 2rem; }.d-flex
{ display: flex; } HTML例:<div class="text-center mt-1 p-2 d-flex">...</div>
Tailwind CSSのようなフレームワークは、このユーティリティファーストのアプローチを全面的に採用しています。適切に使用すれば開発速度を向上させることができますが、HTMLがクラス名で冗長になるという側面もあります。 - JavaScriptによる制御の容易化: 特定の機能やイベントリスナーを紐付けたい要素群に対して、共通のクラス(マーカークラス)を付与しておくことで、JavaScriptからそれらの要素を一括で選択しやすくなります。 例:
.js-modal-trigger
(モーダルを開くトリガーとなる要素すべてに付与) これにより、見た目用のクラスとJavaScriptのフック用のクラスを分離でき、関心の分離が促進されます。
これらの応用例は、HTMLのクラス複数指定がいかに柔軟で強力な機能であるかを示しています。CSS設計やJavaScriptとの連携を考慮しながら活用することで、よりメンテナンスしやすく、拡張性の高いウェブサイトを構築することができるでしょう。
JavaScriptから見たHTMLのクラス複数指定の操作

HTML要素に複数のクラスが指定されている場合、JavaScriptを使ってこれらのクラスを動的に操作することは、インタラクティブなウェブページを作成する上で非常に一般的です。JavaScriptは、要素のクラスリストに対して追加、削除、切り替え(トグル)、存在確認といった操作を行うための便利なAPIを提供しています。
中心となるのは Element.classList
プロパティです。これは、要素のクラス属性の値を DOMTokenList
オブジェクトとして返します。このオブジェクトを通して、以下のようなメソッドが利用できます。
add(className1, className2, ...)
: 指定されたクラス名を一つ以上、要素のクラスリストに追加します。既に存在するクラス名を追加しようとしてもエラーにはならず、単に無視されます。 例:element.classList.add('active', 'highlight');
これにより、element
にactive
クラスとhighlight
クラスが追加されます(元々持っていたクラスはそのまま残ります)。remove(className1, className2, ...)
: 指定されたクラス名を一つ以上、要素のクラスリストから削除します。存在しないクラス名を削除しようとしてもエラーにはなりません。 例:element.classList.remove('temporary', 'old-style');
toggle(className, force)
: 指定されたクラス名が存在すれば削除し、存在しなければ追加します。いわゆる「切り替え」の動作です。 オプションの第二引数force
にtrue
を指定すると、クラス名が存在するかどうかに関わらず強制的に追加します(add
と同様の動作)。false
を指定すると強制的に削除します(remove
と同様の動作)。 例:element.classList.toggle('visible');
(visible
クラスがあれば削除、なければ追加) 例:element.classList.toggle('highlight', condition);
(condition
がtrue
なら追加、false
なら削除)contains(className)
: 指定されたクラス名が要素のクラスリストに存在するかどうかを真偽値(true
またはfalse
)で返します。 例:if (element.classList.contains('selected')) { ... }
replace(oldClass, newClass)
: 既存のクラス名oldClass
を新しいクラス名newClass
に置き換えます。oldClass
が存在しない場合は何も起こりません。 例:element.classList.replace('text-blue', 'text-green');
これらのメソッドは、複数のクラスが指定されている場合でも問題なく機能します。例えば、要素が class="main-content featured important"
を持っている状態で element.classList.add('new-feature');
を実行すると、クラスは main-content featured important new-feature
となります。
古いブラウザ(特にIE9以前)では classList
がサポートされていないため、element.className
プロパティを直接文字列として操作する必要がありましたが、現在ではほとんどのモダンブラウザで classList
が利用可能です。className
を直接操作する場合、スペース区切りの文字列としてクラスを扱わなければならず、追加や削除の処理が煩雑になりがちです。
// 例: classList を使ったクラスの追加
const myElement = document.getElementById('myDiv');
if (myElement) {
myElement.classList.add('active-state', 'user-highlight');
console.log(myElement.className); // "original-class active-state user-highlight" (元のクラスが original-classだった場合)
}
// 例: classList を使ったクラスの削除
if (myElement && myElement.classList.contains('inactive')) {
myElement.classList.remove('inactive');
}
// 例: classList を使ったクラスのトグル
const toggleButton = document.getElementById('toggler');
const contentDiv = document.getElementById('content');
if (toggleButton && contentDiv) {
toggleButton.addEventListener('click', () => {
contentDiv.classList.toggle('is-hidden');
});
}
このように、JavaScriptの classList
APIを利用することで、HTML要素の複数のクラスを簡単かつ安全に操作でき、動的なウェブアプリケーションの構築に大いに役立ちます。
HTMLクラス複数指定の理解を深めるための総まとめ

本記事では、「html クラス 複数」というテーマに焦点を当て、その基本的な使い方からCSSとの連携、さらにはJavaScriptでの操作方法まで、幅広く解説してきました。
ここで、本記事の要点を15個の箇条書きで整理し、HTMLにおけるクラスの複数指定に関する理解を一層深めるための総括とします。
- HTML要素のclass属性にはスペース区切りで複数のクラス名を指定できる
- クラスの複数指定はCSSの再利用性を高め、コード量を削減する
- 複数のクラスに同じCSSを適用するにはカンマ区切りセレクタが有効である
- CSSの優先順位は詳細度、記述順序、!important宣言で決まる
- クラスセレクタの詳細度は通常同じだが、複合セレクタで変化する
- HTMLの入れ子構造とクラス指定を組み合わせることで特定要素を絞り込める
- クラスの中のクラスを指定するには子孫セレクタや子セレクタを用いる
- bodyタグはHTML文書内に一つのみ記述するのが正しい仕様である
- クラスが効かない原因は記述ミス、CSSセレクタ誤り、優先順位、ファイル未読込など多岐にわたる
- id属性はページ内で一意であり、複数要素に同じidは指定できない
- クラスは状態(例: .is-active)やバリエーション(例: .btn-primary)の表現に活用できる
- ユーティリティクラスは単一目的のスタイルをHTML上で組み合わせるのに便利である
- JavaScriptのclassListプロパティでクラスの追加・削除・トグルが容易に行える
- classListのcontainsメソッドで特定のクラスの有無を確認できる
- クラスの複数指定は適切に管理することで保守性と拡張性の高いウェブ開発に貢献する