ウェブページを閲覧していると、リンクをクリックした際に新しいタブで開くサイトと、同じタブで開くサイトがあることに気づきます。この違いは、HTMLのコードで意図的に制御されています。
本記事では、HTMLで新しいタブでリンクを開く方法について、基本から応用まで詳しく解説します。
- target=”_blank”属性を使った新しいタブでの開き方がわかる
- セキュリティ対策として必要なrel属性の設定方法を理解できる
- ブラウザやデバイスによる動作の違いと対処法を学べる
- JavaScriptを組み合わせた高度な制御方法を習得できる
HTMLで新しいタブで開く基本的な実装方法と注意点

HTMLでリンクを新しいタブで開く機能は、ユーザビリティを向上させる重要な要素です。適切に実装することで、ユーザーが元のページに簡単に戻れるようになり、複数のページを同時に閲覧できるようになります。
- aタグの基本構造とhref属性の役割
- target=”_blank”属性の正しい記載方法
- rel属性によるセキュリティ対策の必要性
- ブラウザ間での動作の違いと対応策
- アクセシビリティを考慮した実装のポイント
- 実装時によくあるミスと対処法
aタグの基本構造とhref属性の役割
HTMLでリンクを作成する際の基本となるのがaタグです。アンカータグとも呼ばれるこの要素は、ウェブページ間のナビゲーションを実現する重要な役割を果たします。
基本的なaタグの構造は非常にシンプルです。開始タグと終了タグの間にリンクテキストを記述し、href属性でリンク先のURLを指定します。例えば、Googleへのリンクを作成する場合、以下のように記述します。
<a href="https://www.google.com">Googleへ移動</a>
href属性は「Hypertext Reference」の略称で、リンク先のアドレスを指定する必須属性です。相対パスと絶対パスの両方を指定でき、同じサイト内のページへのリンクには相対パス、外部サイトへのリンクには絶対パスを使用することが一般的です。
ただし、基本的なaタグだけでは、リンクをクリックすると現在のタブでページが切り替わってしまいます。これは、多くのユーザーにとって前のページに戻る際の手間となり、サイトの離脱率を高める要因になることがあります。
target=”_blank”属性の正しい記載方法
新しいタブでリンクを開くためには、aタグにtarget=”_blank”属性を追加します。この属性を使用することで、リンクをクリックした際に新しいタブまたはウィンドウでページが開くようになります。
実装方法は以下のとおりです。
<a href="https://example.com" target="_blank">新しいタブで開く</a>
target属性には、以下の値を指定できます。
値 | 動作 |
---|---|
_self | 同じタブで開く(デフォルト) |
_blank | 新しいタブまたはウィンドウで開く |
_parent | 親フレームで開く |
_top | 最上位のフレームで開く |
_blankを指定する際は、アンダースコアを忘れずに記述することが重要です。よくある間違いとして、「blank」や「new」と記述してしまうケースがありますが、これらは正しく動作しません。
また、target=”_blank”を使用する際は、ユーザー体験を考慮することも大切です。すべてのリンクを新しいタブで開くよりも、外部サイトへのリンクや参考資料など、ユーザーが元のページに戻る可能性が高い場合に限定して使用することをおすすめします。
rel属性によるセキュリティ対策の必要性
target=”_blank”を使用する際、セキュリティ上の脆弱性が存在することを理解しておく必要があります。新しいタブで開かれたページは、JavaScriptのwindow.openerプロパティを通じて、元のページを操作できる可能性があります。
この脆弱性を悪用されると、以下のような攻撃が可能になります。
まず、ユーザーが信頼できるサイトから悪意のあるサイトへのリンクをクリックします。次に、新しいタブで悪意のあるサイトが開かれ、そのサイトがwindow.openerを使って元のページを偽のログインページなどに書き換えます。最後に、ユーザーが元のタブに戻ると、偽のページが表示され、個人情報を入力してしまう可能性があります。
この問題を防ぐために、rel属性を使用してセキュリティ対策を行います。
<a href="https://example.com" target="_blank" rel="noopener noreferrer">
安全に新しいタブで開く
</a>
rel=”noopener”は、新しいタブからwindow.openerへのアクセスを防ぎます。一方、rel=”noreferrer”は、HTTPリファラー情報を送信しないようにし、追加のプライバシー保護を提供します。現在のブラウザでは、noopenerのサポートが広まっていますが、古いブラウザとの互換性を考慮して、両方を指定することが推奨されます。
ブラウザ間での動作の違いと対応策
target=”_blank”の動作は、使用するブラウザやデバイスによって異なる場合があります。デスクトップブラウザでは一般的に新しいタブで開きますが、モバイルブラウザでは異なる挙動を示すことがあります。
特にAndroid端末のGoogle Chromeでは、セキュリティ設定によってtarget=”_blank”が効かない場合があります。これは、前述のセキュリティ脆弱性への対策として実装されている機能です。rel=”noopener noreferrer”を適切に設定することで、この問題を回避できます。
また、一部のブラウザでは、ユーザーの設定によって新しいウィンドウで開く場合もあります。これはブラウザの設定に依存するため、ウェブ開発者側で完全にコントロールすることはできません。
ブラウザ間の互換性を確保するためには、以下の点に注意することが重要です。
現代的なブラウザでは、target=”_blank”を単独で使用すると、自動的にrel=”noopener”が適用される場合があります。しかし、すべてのブラウザがこの機能をサポートしているわけではないため、明示的にrel属性を指定することが推奨されます。
アクセシビリティを考慮した実装のポイント
新しいタブでリンクを開く機能を実装する際は、アクセシビリティの観点も考慮する必要があります。視覚に障害のあるユーザーや、スクリーンリーダーを使用するユーザーにとって、予期しない新しいタブの開放は混乱を招く可能性があります。
アクセシビリティを向上させるために、以下の方法を検討してください。
リンクテキストに新しいタブで開くことを明示する方法があります。例えば、「詳細情報(新しいタブで開く)」のように記述することで、ユーザーに事前に知らせることができます。
<a href="https://example.com" target="_blank" rel="noopener noreferrer">
詳細情報(新しいタブで開く)
</a>
もしくは、視覚的なアイコンとスクリーンリーダー用のテキストを組み合わせる方法もあります。
<a href="https://example.com" target="_blank" rel="noopener noreferrer">
詳細情報
<span class="sr-only">(新しいタブで開く)</span>
<svg aria-hidden="true"><!-- 外部リンクアイコン --></svg>
</a>
このように実装することで、視覚的にも聴覚的にも新しいタブで開くことが伝わるようになります。
実装時によくあるミスと対処法
HTMLで新しいタブで開く機能を実装する際、初心者がよく陥るミスがいくつかあります。これらのミスを事前に把握し、適切に対処することで、より安全で効果的な実装が可能になります。
最も一般的なミスは、target属性の値を間違えることです。「_blank」の前のアンダースコアを忘れたり、「new」や「newtab」といった存在しない値を使用したりするケースがよく見られます。正しくは「_blank」と記述する必要があります。
次によくあるミスは、セキュリティ対策を怠ることです。target=”_blank”だけを指定し、rel属性を付け忘れるケースが多く見られます。必ずrel=”noopener noreferrer”を併記するよう心がけましょう。
また、すべてのリンクに機械的にtarget=”_blank”を適用してしまうのも避けるべきです。サイト内の移動では基本的に同じタブで開き、外部サイトや参考資料へのリンクのみ新しいタブで開くといった使い分けが重要です。
HTMLで新しいタブで開く機能のテスト方法
実装後は、必ず複数のブラウザとデバイスでテストを行いましょう。デスクトップのChrome、Firefox、Safari、Edgeだけでなく、モバイル端末でも動作確認を行うことが重要です。特に、セキュリティ設定が厳しいブラウザでも正常に動作するか確認してください。
HTMLで新しいタブで開く応用テクニックと実践例

基本的な実装方法を理解したところで、より高度な実装方法と実践的な活用例について解説します。JavaScriptを組み合わせた動的な制御や、特定の状況での最適な実装方法など、実務で役立つテクニックを紹介します。
- JavaScriptを使った動的なタブ制御方法
- インラインフレーム(iframe)での活用方法
- モバイル環境での挙動と最適化
- WordPressやCMSでの設定方法
- パフォーマンスへの影響と改善策
- 実装例とサンプルコード集
JavaScriptを使った動的なタブ制御方法
JavaScriptを使用することで、より柔軟な新しいタブの制御が可能になります。window.openメソッドを使用すると、新しいウィンドウのサイズや位置も指定できます。
基本的なwindow.openの使用方法は以下のとおりです。
// 新しいタブで開く
window.open('https://example.com', '_blank');
// 新しいウィンドウで開く(サイズ指定)
window.open('https://example.com', '_blank', 'width=800,height=600');
また、条件に応じて新しいタブで開くかどうかを制御することも可能です。
function openLink(url, isExternal) {
if (isExternal) {
// 外部リンクは新しいタブで開く
window.open(url, '_blank', 'noopener,noreferrer');
} else {
// 内部リンクは同じタブで開く
window.location.href = url;
}
}
イベントリスナーと組み合わせることで、ユーザーの操作に応じた動的な制御も実現できます。
document.addEventListener('DOMContentLoaded', function() {
// すべての外部リンクを取得
const externalLinks = document.querySelectorAll('a[href^="http"]:not([href*="' + window.location.hostname + '"])');
externalLinks.forEach(link => {
link.setAttribute('target', '_blank');
link.setAttribute('rel', 'noopener noreferrer');
});
});
このスクリプトは、ページ内のすべての外部リンクを自動的に新しいタブで開くように設定します。
インラインフレーム(iframe)での活用方法
インラインフレーム(iframe)を使用する場合、target属性を活用して特定のフレーム内でリンクを開くことができます。これは、ページの一部だけを更新したい場合に便利です。
<!-- ナビゲーション -->
<nav>
<ul>
<li><a href="page1.html" target="content-frame">ページ1</a></li>
<li><a href="page2.html" target="content-frame">ページ2</a></li>
<li><a href="page3.html" target="content-frame">ページ3</a></li>
</ul>
</nav>
<!-- コンテンツ表示エリア -->
<iframe name="content-frame" src="page1.html" width="100%" height="500"></iframe>
この実装により、ナビゲーションのリンクをクリックすると、iframe内のコンテンツのみが切り替わります。メインページ全体を再読み込みすることなく、部分的な更新が可能になります。
ただし、iframeの使用にはいくつかの注意点があります。SEOへの影響や、レスポンシブデザインでの扱いが難しくなる可能性があるため、使用場面を慎重に検討する必要があります。
モバイル環境での挙動と最適化
モバイル環境では、新しいタブで開く機能の挙動がデスクトップとは異なることがあります。特に、iOSのSafariやAndroidのChromeでは、ブラウザの設定やOSのバージョンによって動作が変わる場合があります。
モバイル環境での最適化のポイントは以下のとおりです。
まず、タッチデバイスでは、長押しメニューから「新しいタブで開く」オプションが提供されることが多いため、すべてのリンクに強制的にtarget=”_blank”を適用する必要はありません。むしろ、ユーザーに選択肢を与えることが重要です。
次に、モバイルブラウザでは、新しいタブがバックグラウンドで開かれることがあり、ユーザーが気づかない可能性があります。このため、重要なリンクには視覚的なフィードバックを提供することが推奨されます。
/* 外部リンクのスタイリング例 */
a[target="_blank"]::after {
content: " ↗";
font-size: 0.8em;
vertical-align: super;
}
WordPressやCMSでの設定方法
WordPressなどのCMSを使用している場合、管理画面から簡単に新しいタブで開く設定を行うことができます。
WordPressのブロックエディタ(Gutenberg)では、リンクを設定する際に「新しいタブで開く」のチェックボックスが用意されています。これにチェックを入れるだけで、自動的にtarget=”_blank”とrel=”noopener”が追加されます。
クラシックエディタを使用している場合は、リンク挿入ダイアログで歯車アイコンをクリックし、「リンクを新しいタブで開く」にチェックを入れます。
また、functions.phpにコードを追加することで、特定の条件下で自動的に新しいタブで開く設定を適用することも可能です。
function add_target_blank_to_external_links($content) {
return preg_replace_callback('/<a[^>]+href=["\']([^"\']+)["\'][^>]*>/i', function($matches) {
$link = $matches[0];
$url = $matches[1];
// 外部リンクかどうかを判定
if (strpos($url, home_url()) === false && strpos($url, 'http') === 0) {
// target="_blank"とrel属性を追加
if (strpos($link, 'target=') === false) {
$link = str_replace('<a', '<a target="_blank"', $link);
}
if (strpos($link, 'rel=') === false) {
$link = str_replace('<a', '<a rel="noopener noreferrer"', $link);
}
}
return $link;
}, $content);
}
add_filter('the_content', 'add_target_blank_to_external_links');
パフォーマンスへの影響と改善策
新しいタブで開く機能自体は、ページのパフォーマンスに直接的な影響を与えることはほとんどありません。しかし、大量のリンクに対してJavaScriptで動的に属性を追加する場合は、処理時間を考慮する必要があります。
パフォーマンスを最適化するためには、以下の点に注意しましょう。
DOMの操作は最小限に抑え、必要な要素のみを対象とすることが重要です。例えば、すべてのリンクをチェックするのではなく、特定のクラスやデータ属性を持つリンクのみを処理するようにします。
// 効率的な実装例
const externalLinks = document.querySelectorAll('a.external-link');
externalLinks.forEach(link => {
link.target = '_blank';
link.rel = 'noopener noreferrer';
});
また、ページの読み込み時ではなく、必要に応じて処理を実行することも検討しましょう。Intersection Observer APIを使用して、ビューポートに入ったリンクのみを処理するといった最適化も可能です。
実装例とサンプルコード集
実際のウェブサイトでよく使用される実装パターンをいくつか紹介します。
外部リンクアイコン付きの実装例:
<style>
.external-link {
position: relative;
padding-right: 20px;
}
.external-link::after {
content: url('data:image/svg+xml;utf8,<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" width="12" height="12" viewBox="0 0 24 24" fill="none" stroke="currentColor" stroke-width="2"><path d="M18 13v6a2 2 0 0 1-2 2H5a2 2 0 0 1-2-2V8a2 2 0 0 1 2-2h6"></path><polyline points="15 3 21 3 21 9"></polyline><line x1="10" y1="14" x2="21" y2="3"></line></svg>');
position: absolute;
right: 0;
top: 50%;
transform: translateY(-50%);
}
</style>
<a href="https://example.com" class="external-link" target="_blank" rel="noopener noreferrer">
外部サイトへ
</a>
条件分岐を使った動的な実装例:
<script>
document.addEventListener('DOMContentLoaded', function() {
// データ属性を使った制御
const links = document.querySelectorAll('a[data-target-type]');
links.forEach(link => {
const targetType = link.getAttribute('data-target-type');
switch(targetType) {
case 'external':
link.target = '_blank';
link.rel = 'noopener noreferrer';
break;
case 'download':
link.download = true;
break;
case 'popup':
link.addEventListener('click', function(e) {
e.preventDefault();
window.open(this.href, 'popup', 'width=600,height=400');
});
break;
}
});
});
</script>
<!-- 使用例 -->
<a href="https://example.com" data-target-type="external">外部サイト</a>
<a href="/file.pdf" data-target-type="download">PDFをダウンロード</a>
<a href="/popup.html" data-target-type="popup">ポップアップで開く</a>
HTMLで新しいタブで開く実装のまとめと今後の展望

HTMLで新しいタブで開く機能は、単純に見えて奥が深い実装です。基本的なtarget=”_blank”の使用から、セキュリティ対策、アクセシビリティの考慮、JavaScriptを使った高度な制御まで、様々な側面を理解する必要があります。以下に、本記事で解説した重要なポイントをまとめます。
- target=”_blank”属性を使用して新しいタブで開く基本的な実装方法
- rel=”noopener noreferrer”によるセキュリティ脆弱性への対策は必須
- ブラウザやデバイスによって動作が異なる場合があることを認識する
- アクセシビリティを考慮し、新しいタブで開くことを明示する
- 外部リンクと内部リンクで使い分けることでユーザビリティが向上
- JavaScriptのwindow.openメソッドでより詳細な制御が可能
- モバイル環境では特有の挙動があるため別途対策が必要
- WordPressなどのCMSでは管理画面から簡単に設定可能
- 大量のリンクを処理する場合はパフォーマンスへの配慮が重要
- iframeとtarget属性を組み合わせて部分的な更新を実現できる
- 実装後は必ず複数のブラウザとデバイスでテストを実施する
- ユーザーの選択肢を奪わない実装を心がける
- 外部リンクにはアイコンなどの視覚的なフィードバックを提供
- セキュリティアップデートやブラウザの仕様変更に注意を払う
- 将来的にはWeb標準の進化により、より安全で使いやすい実装方法が登場する可能性