「AIエンジニアの年収って本当に高いの?」「未経験からでも目指せるのかな?」そんな疑問を持って、スマホで検索している方も多いのではないでしょうか。2025年現在、AIエンジニアは市場価値が急上昇している職種の一つですが、一方で「やめとけ」「オワコン」なんて噂も耳にしますよね。実際のところ、中央値はどれくらいで、1000万や2000万を超えるには何が必要なのか、そして海外との格差はどうなのか、気になるポイントがたくさんあるはずです。
この記事では、最新のランキングやキャリアパス、未経験からの挑戦方法まで、現場のリアルな情報を包み隠さずお届けしますよ。これからAIエンジニアを目指す方も、キャリアアップを考えている方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
- 2025年最新のAIエンジニアの平均年収と年代別の推移
- 年収1000万円・2000万円を超えるための具体的なスキルセット
- 「オワコン説」の真偽と今後生き残るエンジニアの特徴
- 未経験から採用担当者の目に留まるポートフォリオの作り方
AIエンジニアの年収実態と職務定義
ここからは、AIエンジニアのリアルなお金の話と、そもそも今求められている役割について深掘りしていきますね。平均年収のデータから、1000万、2000万といったハイレイヤー層の実態、さらには海外との驚くべき格差まで、AIエンジニアの年収に関する最新情報を網羅的に解説します。
今さら聞けないAIエンジニアとは
「AIエンジニア」と聞いて、みなさんは具体的にどんな仕事をしている人をイメージしますか?おそらく数年前までなら、「Pythonを使って機械学習モデルをゼロから構築する人」や、「複雑な数式と向き合って画像認識の精度を競う人」といったイメージが強かったかもしれません。もちろん、そうしたコアな研究開発職も依然として重要ですが、2025年の現在において、AIエンジニアの定義は劇的に拡張され、ビジネス寄りへとシフトしているんです。
現代のAIエンジニアを一言で再定義するならば、「不確実なAIの出力をコントロールし、確実性の高いビジネス価値に変換するシステム構築の専門家」と呼ぶのが最も適切でしょう。ChatGPTやClaudeといった高性能なLLM(大規模言語モデル)が登場したことで、「モデルを作る能力」そのものの希少性は相対的に下がりました。その代わり、「既存の強力なモデルをどう組み合わせて、会社の売上を上げるか」「ハルシネーション(AIの嘘)のリスクをどう防ぎながら業務を自動化するか」という、エンジニアリングとビジネスセンスの両方が求められるようになっているのです。
今のAIエンジニアに求められる3つの主要な役割と年収イメージ
- AIモデル開発者(Core AI Researcher):
Google DeepMindやOpenAI、国内ならPreferred Networksのようなトップティアの研究所で、LLMのアーキテクチャ自体や新規アルゴリズムを開発する層です。高度な数学的素養(微分幾何学や確率論)とHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)スキルが必須。年収レンジは最も高く、1,500万円〜3,000万円超が一般的です。 - AIアプリケーションエンジニア(Applied AI Engineer):
今、市場で最も需要が爆発しているのがこの層です!自社でモデルを作るのではなく、OpenAI等のAPIを活用し、RAG(検索拡張生成)やエージェント技術を駆使して実用的なアプリを開発します。Web開発のスキルとプロンプトエンジニアリングの掛け合わせが武器になります。年収は600万円〜1,500万円と幅広いです。 - データサイエンティスト(Data Scientist):
ビジネスの意思決定支援に特化した職種です。統計モデリングや因果推論を用いてデータからインサイト(洞察)を導き出し、経営層に提言を行います。エンジニアリングよりも分析に重きを置く点が特徴で、年収は700万円〜1,200万円程度がボリュームゾーンです。
このように、一口に「AIエンジニア」と言っても、その役割は多岐にわたります。特に最近では、RAGやLangGraphなどのオーケストレーションツールを使って、複雑な業務フローを自動化するシステムを作れる人材が枯渇しています。「モデルを作る」時代から「モデルを使い倒す」時代へ、重心が完全に移っていることは、キャリアを考える上で絶対に覚えておいてくださいね。
また、AIの進化によって自分の仕事がなくならないか不安に感じているエンジニアの方もいるかもしれません。AIと共存するための視点については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ併せて読んでみてください。
ChatGPTがあってもプログラマーの仕事がなくならない理由20選
最新のAIエンジニア年収ランキング
では、みなさんが一番気になっているであろう「お金」の話に切り込んでいきましょう。「AIエンジニアになれば稼げる」というのは本当なのか?そして、「実際にどの企業に入れば高年収を実現できるのか?」という疑問に答えるべく、2025年版の企業別平均年収ランキング(推計)を作成しました。
このランキングは、各社の有価証券報告書や、doda、OpenWorkなどの口コミデータ、そして実際の求人票の提示額を総合的に分析したものです。あくまで「全社員の平均」ではなく、「AIエンジニアや高度技術職」にフォーカスした際の肌感覚に近い数値を弾き出しています。
| 順位 | 企業名 | 平均年収(推計) | AIエンジニアへの待遇・特徴 |
|---|---|---|---|
| 1 | ジャストシステム | 1,432万円 | 徳島発の企業ですが、キーエンス流の超高収益体質で有名です。自然言語処理技術(ATOKなど)に強みを持ち、利益を社員に還元する給与体系は国内トップクラスです。 |
| 2 | ソフトバンクグループ | 1,363万円 | 投資会社としての側面が強いですが、グループ全体のAI戦略を担う中核人材には青天井の報酬を用意する傾向があります。優秀な人材獲得には資金を惜しみません。 |
| 3 | ベイカレント | 1,349万円 | コンサルティングファームですが、DX・AI案件が主力です。「技術×コンサル」で高単価を実現しており、ハードワークですがリターンは非常に大きいです。 |
| 4 | 野村総合研究所 (NRI) | 1,321万円 | 国内SIerの最高峰です。安定性と高年収を両立したいなら最強の選択肢。金融AIなどの大規模プロジェクトに関われる機会も豊富です。 |
| 5 | メルカリ | 1,176万円 | テックカンパニーとしてグローバル基準の給与体系を持っています。AI人材の採用に極めて積極的で、技術書典やカンファレンスへの露出も多く、エンジニアファーストな環境です。 |
この表から読み取れる重要な事実は、国内企業であっても、トップティアの環境に身を置けば年収1,000万円超えは決して夢ではないということです。特に注目すべきは、自社サービスの中にAIを組み込んで直接的な収益を上げている企業(リクルート、メルカリ、Sansanなど)や、AI技術そのものを外販している専業ベンチャー(PKSHA Technologyなど)です。これらの企業では、エンジニアが「コストセンター」ではなく「プロフィットセンター(利益を生む源泉)」として扱われるため、待遇が良くなる傾向にあります。
一般的なAIエンジニアの平均年収は、求人ボックスなどの統計を見ると約600万〜800万円と言われていますが、上記のようなトップ企業と、下請け構造の末端企業とでは、同じ「AIエンジニア」という肩書きでも年収に2倍〜3倍の開きがあるのが現実です。「何ができるか」も大事ですが、「どこで働くか」というポジショニング戦略が、年収アップには不可欠ですよ。
AIエンジニアで年収1000万の壁
「年収1000万円」。多くのエンジニアにとって、一つの到達点であり、同時に高い壁でもあります。「AIエンジニアなら売り手市場だし、普通にやってれば届くでしょ?」と思っているとしたら、それは少し甘いかもしれません。確かに平均年収は高い職種ですが、ただ漫然とタスクをこなしているだけのメンバークラスで1000万円を超えるのは、国内企業では構造的に難しいのが実情です。
この「1000万円の壁」を突破するために絶対に必要なのが、「技術」と「ビジネス」の高度な掛け算です。コードが書けるだけの人は代替可能です。しかし、以下の3つの要素を兼ね備えた人材は、代わりが効かないため、企業は高い報酬を払ってでも引き留めようとします。
1. ハイブリッドな専門性(AI × 〇〇)
AIの知識単体ではなく、それを動かすための周辺技術やドメイン知識を持っていることが強みになります。例えば、「AIモデル構築 × 大規模クラウドインフラ(AWS/GCP)構築」ができるMLOpsエンジニアや、「自然言語処理 × 金融工学」を理解しているFinTechエンジニアなどです。掛け合わせることで、あなたの希少価値は指数関数的に跳ね上がります。
2. ビジネス貢献の可視化能力
年収1000万円プレイヤーは、自分の技術をビジネスの数字(KPI)に翻訳して語ることができます。面接や評価面談で、「精度99%のモデルを作りました」と言うのと、「そのモデルを導入したことで、カスタマーサポートの対応時間を30%削減し、年間5000万円のコストカットを実現しました」と言うのとでは、評価が全く違いますよね。技術を手段として捉え、ビジネスインパクトを出せる人が評価されます。
3. 英語力による一次情報へのアクセス
これは意外と見落とされがちですが、AI分野の技術進化はあまりにも速く、重要な情報はすべて英語で発信されます(arXivの論文、Hugging Faceのドキュメントなど)。日本語に翻訳された記事を待っているようでは周回遅れになってしまいます。英語の一次情報に直接アクセスし、いち早く検証して導入できるスピード感は、テックリードやアーキテクトクラスには必須の能力です。
キャリアパスとしては、30代前半までに特定の技術領域でスペシャリティを確立し、その後プロジェクトマネージャー(PM)やテックリードとしてチームを牽引する経験を積むのが王道です。このフェーズで「人を動かして成果を出す」経験をしておくと、30代後半以降に1000万円〜1500万円のレンジへスムーズに移行できますよ。
AIエンジニア(年収2000万)の到達条件
さらに上の世界、年収2000万円以上の領域についてお話ししましょう。このレベルになると、国内の一般的な求人サイト(転職サイトなど)ではほとんど募集を見かけなくなります。いわゆる「ハイクラス」「エグゼクティブ」の世界です。ここに到達しているAIエンジニアは、主に以下の3つのパターンのいずれかに分類されます。
年収2000万円プレイヤーの3つの生態
- 外資系ビッグテックのシニア/プリンシパルクラス:
Google、Amazon (AWS)、Microsoft、NVIDIAなどの日本法人において、シニアエンジニア(L5/L6レベル)以上のポジションに就くことです。彼らの報酬パッケージは基本給(Base Salary)に加え、RSU(譲渡制限付株式ユニット)と呼ばれる自社株が付与されるのが特徴です。株価が上昇すれば、年収換算で3000万円〜4000万円に達することも珍しくありません。 - トップティアAIベンチャーのCXO/幹部:
技術力の高いAIスタートアップのCTO(最高技術責任者)やVPoE(技術担当副社長)、あるいはCAIO(最高AI責任者)として、経営ボードメンバーに入ることです。ストックオプション(SO)によるキャピタルゲインを含めれば、上場時などには億単位の資産を築くチャンスがあります。 - 超高単価フリーランス・技術顧問:
特定のニッチな技術(例:大規模LLMの学習基盤構築、GPU最適化、Rustによる高速推論システムの設計など)において国内屈指のスキルを持ち、複数の企業と技術顧問契約やスポット契約を結ぶ働き方です。このクラスになると、月単価200万円以上の案件も存在します。
特に2025年のトレンドとして注目なのが、「Rust(ラスト)」言語を使えるエンジニアの単価高騰です。従来のPythonは開発効率が良い反面、実行速度が遅いという弱点がありました。しかし、AIシステムが大規模化・リアルタイム化する中で、安全性と圧倒的な処理速度を両立できるRustへの書き換え需要が急増しています。Pythonしか書けないエンジニアと、Rustで高速な推論サーバーを書けるエンジニアとでは、提示される単価に大きな差が開き始めています。
AIエンジニアの年収は海外が高い
ここまで日本の話をしてきましたが、正直なところ、世界に目を向けると日本のAIエンジニアの給与水準は「割安」と言わざるを得ません。「日本で必死に頑張るのがバカらしくなるかも…」と心配になるくらい、アメリカを中心とした海外市場との年収格差は開いています。
アメリカにおけるAIエンジニアの平均年収は、日本円換算でおよそ2,200万円〜2,400万円(14.7万ドル〜16万ドル)と言われています。これはあくまで「平均」であり、サンフランシスコやシリコンバレーなどのテックハブで働くトップ層になれば、基本給だけで3,000万円を超え、サインオンボーナスや株式報酬を含めたトータルパッケージでは、新卒数年目でも4,000万円〜6,000万円に達するケースが報告されています。
E-E-A-Tメモ:データで見る人材市場
経済産業省の調査(出典:経済産業省『IT人材需給に関する調査』)によると、日本国内でも2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。この需給ギャップは深刻ですが、裏を返せば、高度なスキルを持つ人材の市場価値は今後も上昇し続けるという強い根拠になります。海外との格差は埋まりにくいものの、日本国内においても「売り手市場」である構造は変わりません。
「じゃあ、英語が話せない自分には関係ない話?」と思うかもしれませんが、諦めるのはまだ早いです。最近では、「円安を武器にする」という新しい働き方が広まっています。具体的には、UpworkやToptalといったグローバルなフリーランスプラットフォームを活用し、日本に住みながら海外企業のAI開発案件をフルリモートで受託するスタイルです。
例えば、時給100ドルの案件を獲得できたとしましょう。1ドル100円の時代なら時給1万円ですが、1ドル150円なら時給1万5000円になります。生活コストの安い日本で暮らしながら、報酬だけはドルベースで受け取る。これこそが、現代における最強の「アービトラージ(裁定取引)」的なキャリア戦略と言えるでしょう。英語学習への投資リターンは、かつてないほど高まっていますよ。
AIエンジニアの年収を上げるキャリア戦略
記事の後半では、これからAIエンジニアを目指す未経験の方や、現在エンジニアとして働いていて今後のキャリアに悩んでいる方に向けて、「どうすればこの激動の市場で生き残り、年収を上げ続けられるか」を戦略的に解説していきます。ネット上で囁かれる「オワコン説」の真相や、採用担当者を唸らせるポートフォリオの作り方など、実践的なノウハウを見ていきましょう。
AIエンジニアはやめとけと言われる理由
Googleの検索窓に「AIエンジニア」と入力すると、サジェスト(予測変換)に「やめとけ」「きつい」「後悔」といったネガティブな言葉が出てきて、不安になったことはありませんか?実は、こうした意見が出てくる背景には、AIエンジニアという職種特有の構造的な理由が存在します。決して「稼げないからやめとけ」と言われているわけではないのです。
「やめとけ」と言われる5つの構造的理由
- スキルの陳腐化速度が異常に速い:
この業界は「ドッグイヤー」どころではありません。半年前に苦労して覚えたライブラリや手法が、新しい技術(例えばLLMやAutoML)の登場で一瞬にして無価値になることが日常茶飯事です。常に勉強し続けなければならない「学習のランニングマシン」についていけず、疲弊してしまう人が多いのが現実です。 - AutoMLによるコモディティ化:
簡単な分類モデルや予測モデルなら、今はDataRobotなどのAutoMLツールや、ChatGPTのデータ分析機能を使えば、コードを書かずに誰でも作れてしまいます。「ただモデルを作れるだけ」の初級エンジニアの価値は暴落しており、仕事が奪われる恐怖があります。 - 泥臭いデータ前処理(Data Cleaning):
AI開発というと華やかなイメージがありますが、実際の業務時間の8割は、データの収集・整形・ラベル付けといった非常に地味で泥臭い作業に費やされます。「キラキラしたクリエイティブな仕事」を想像して入社すると、このギャップに絶望することになります。 - 責任とプレッシャーの重さ:
AIの判断がビジネスや人命に関わる場合(自動運転や医療診断、与信審査など)、その予測精度に対する責任は重大です。ブラックボックス化しやすいAIの挙動を説明し、品質を保証するプレッシャーは計り知れません。 - 優秀な人材への業務集中:
AIエンジニアは絶対数が不足しているため、特定の実力者に業務が集中しやすく、高年収の裏で長時間労働が常態化している現場も少なくありません。
つまり、「楽して流行りの仕事で稼ぎたい」という動機で目指すなら、間違いなく「やめとけ」と言いたくなります。しかし、知的好奇心が旺盛で、新しい技術を触るのが三度の飯より好き、というタイプの人にとっては、毎日が発見の連続で、これほど刺激的で面白い仕事はありません。適性がはっきり分かれる職種だということは理解しておきましょう。
AIエンジニアはオワコンなのか検証
結論から申し上げます。AIエンジニアという職種自体は決してオワコンではありません。むしろ、AIが社会インフラ化していくこれからの時代こそが本番です。
しかし、残酷な事実として、「旧来型のスキルセットに固執するAIエンジニア」は確実にオワコン化しています。具体的には、「教科書的なアルゴリズムの実装しかできない」「精度を上げることだけに固執し、ビジネス価値に関心がない」「生成AIなどの新技術を『邪道』だとして敬遠し、キャッチアップしない」といったエンジニアです。
一方で、市場価値が爆上がりしているのは、「AIをシステム全体の一部として捉え、組み込んで動かせるエンジニア」です。2025年の今、企業が求めているのは「実験室での高精度なモデル」ではなく、「現場で使えるAIシステム」だからです。
具体的には、以下のような新しい領域のスキルを持つ人材は引く手あまたです。
- MLOps / LLMOps:
開発したAIモデルを安定的に運用し、継続的に学習・改善させるための基盤(パイプライン)を構築できるスキル。 - AIアーキテクト:
RAG、ベクトルデータベース、クラウドサービスなどを適切に組み合わせ、システム全体の設計図を描ける能力。 - ドメインエキスパート × AI:
医療、製造、建設、金融など、特定の業界知識(ドメイン知識)を深く持ち、その業界特有の課題に対してAIを適切に適用できる力。
AIエンジニアは「作る人」から「組み立て、運用し、価値を生む人」へと進化を遂げました。この変化に適応できる人にとっては、オワコンどころかブルーオーシャンが広がっています。
未経験からAIエンジニアになるには
未経験からAIエンジニアを目指すのは、正直に言ってハードルが高い挑戦です。しかし、正しい戦略を持てば決して不可能ではありません。多くの人が挫折するのは、「いきなりGoogleのような企業のAI研究職を目指してしまう」からです。そこは世界中の天才たちがしのぎを削る場所です。
未経験者が狙うべき現実的なルートは、まず「AIアプリケーションエンジニア」としての入り口を突破することです。数式を一から解く必要はありません。APIを使って便利なアプリを作る能力を磨きましょう。
具体的なステップは以下の通りです。
- 基礎スキルの習得:
プログラミング言語「Python」の文法は必須です。加えて、PandasやScikit-learnなどの基本的なライブラリ操作、そして何よりWeb開発の基礎(API連携、Git、Docker、クラウドの基本)を学びましょう。AIも結局はWebシステムの一部として動くからです。 - ポートフォリオ作成:
ここが最重要です。チュートリアルをなぞっただけのものは評価されません。オリジナルの課題解決アプリを作りましょう(詳細は次項で解説します)。 - 転職活動:
いきなりAI専業企業は難しくても、「AI事業を始めたWeb系事業会社」や「AI案件を持っているSES企業」ならポテンシャル採用の枠があります。まずはそこで実務経験を積み、キャリアの第一歩を踏み出しましょう。
独学では何を学べばいいか分からず、エラー解決で挫折してしまうリスクも高いです。効率的に学習を進めるなら、AIに特化したカリキュラムを持ち、現役エンジニアのメンターがつくプログラミングスクールを検討するのも賢い投資です。最近では、国からの補助金(リスキリング支援)を活用して、費用の最大70%がキャッシュバックされる制度もあるので、これを使わない手はありません。
スクール選びや補助金の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
リスキリング補助金で生成AI講座をお得に受講!制度の概要と活用法
未経験から最短でITエンジニアになるには?目指す方法や向いている人の特徴
採用されるポートフォリオの作成術
未経験者が書類選考を突破し、面接にたどり着けるかどうかは、9割方「ポートフォリオ(成果物)」の質で決まります。ここで厳しいことを言いますが、スクールの課題で作ったような「Titanic号の生存予測」や「MNIST(手書き文字認識)」、「犬猫の画像分類」といった教科書通りの成果物は、採用担当者から見ると「またこれか…」と思われてしまい、アピールになりません。
2025年の今、採用担当者が見たいのは、「最新の技術スタックを使って、あなた独自の視点で課題を解決した経験」です。技術への感度の高さと、実装力の証明が求められます。
【2025年版】採用担当者が「おっ!」と身を乗り出すポートフォリオの具体例
- 自律型AIエージェントの開発:
「LangGraph」や「CrewAI」といった最新のエージェントフレームワークを使用し、ユーザーの曖昧な指示に対して、AIが自律的にWeb検索や計算を行い、タスクを完遂するボット。例えば「旅行の条件を入れると、最新のフライト・ホテル情報を検索し、予算内で最適なプランを比較提案してくれるエージェント」など。 - 高度なRAG(検索拡張生成)システム:
単にテキストを検索するだけでなく、ベクトルデータベース(PineconeやWeaviateなど)を活用し、社内ドキュメントや特定の専門書のPDFを読み込ませて、高精度に回答するQ&Aシステム。「Docker」を使って環境構築されていたり、回答の根拠(ソース)を提示する機能があったりすると、実務能力への信頼度が高まります。 - 金融ニュース分析・株価予測ボット:
ニュースサイトからスクレイピングで情報を集め、LLMにその内容がポジティブかネガティブかを推論させ、株価への影響を予測するツール。データ収集から分析、可視化(Streamlitなどを使用)までの一連のパイプラインが自動化されている点が評価されます。
面接では、「なぜその技術を選んだのか?」「開発中に発生したエラーにどう対処したか?」というプロセスを必ず聞かれます。ChatGPTにコードを書かせても良いですが、内容を理解していなければ答えられません。GitHubのREADMEには、アプリの概要だけでなく、技術選定の理由や苦労した点もしっかり書き込みましょう。それがあなたのエンジニアとしての「思考力」の証明になります。
今後のAIエンジニアの年収と未来
最後に、これからのAIエンジニアのキャリアと年収の未来についてまとめたいと思います。
2025年は、AIが「魔法のような新技術」から、電気やインターネットのような「当たり前のインフラ(社会のOS)」へと変わる歴史的な転換点です。この変化に伴い、AIエンジニアの市場価値はさらに二極化が進んでいくでしょう。
AIを使えることが特別なことではなくなる未来では、ただコードが書けるだけのエンジニアの価値は下がっていきます。しかし一方で、AIという強力なツールを使いこなし、ビジネスを変革できるエンジニアの価値は天井知らずです。両者の間には、生涯年収で数億円規模の格差が生まれる可能性すらあります。
AIエンジニアの年収は、今後も全職種の中でトップクラスの高水準で推移することは間違いありません。特に、英語力を身につけてグローバルな視点で技術をキャッチアップできる人や、変化を恐れずに新しい技術スタック(RAG、エージェント、評価基盤など)を貪欲に取り入れられる人には、無限の可能性が広がっています。
「AIエンジニア 年収」というキーワードで検索してこの記事にたどり着いたあなたは、現状に満足せず、より高いレベルを目指そうとしている向上心の持ち主だと思います。その好奇心と行動力こそが、AIエンジニアとして最も大切な資質です。ぜひ、このエキサイティングな変化を楽しみながら、高年収プレイヤーを目指して次の一歩を踏み出してくださいね。





