多言語対応は、日本語の一覧を翻訳会社へ渡すだけでは完成しません。
画面文言、日付、数値、通貨、画像、通知、メール、ストア情報を言語資産として分け、長い文字列や表示方向を実機で試します。
最初に基準言語と用語集を決め、コードへ直接書かれた文言をなくしてください。
アプリ開発の目的に合う相談先は、外注と学習を目的別に分けた相談ガイドにまとめています。
| 対象 | 翻訳以外の確認 | 管理単位 |
|---|---|---|
| 画面文言 | 文字切れ、改行、順序 | 文字列キー |
| 日付、数値、通貨 | 形式、区切り、単位 | ロケール |
| 画像、音声 | 文字入り素材、権利 | 言語別資産 |
| 通知、メール | 端末外のテンプレート | 配信チャネル |
| ストア情報 | 説明、画像、問い合わせ | ストアと言語 |
翻訳対象を五つの資産へ分ける
アプリ内の文字列だけを抽出しても、エラー文、プッシュ通知、メール、画像内文字、ストア説明が漏れます。
利用者が触れる接点を一覧にし、所有者と更新場所を決めてください。
| 資産 | 正本 | テスト環境 |
|---|---|---|
| UI文字列 | 言語リソース | 対応端末 |
| データ由来の名称 | DB、管理画面 | 本番相当データ |
| 通知、メール | 配信テンプレート | テスト送信 |
| 画像、音声 | 素材管理 | 画面と再生環境 |
| ストア情報 | 公開管理表 | ストアプレビュー |
XcodeのLocalization資料は、翻訳対象の抽出、言語別リソース、テストの流れを説明しています。
Androidでも公式のローカライズ資料に沿い、既定リソースと言語別リソースを分けます。
文字列キーは画面位置ではなく意味で付けます。
同じ「保存」でも下書き保存と本登録で意味が違うなら、別の文脈とキーを用意してください。
基準言語から公開までを七段階で進める
言語を一度に増やさず、翻訳、実装、確認、更新の責任を一周させます。
- 対象地域、言語、基準言語、対応外を決める
- 用語集、文体、禁止表現、変数表記を定める
- UI、通知、画像、ストアの翻訳対象を抽出する
- 文字列へ画面、利用者、操作結果の文脈を添える
- 翻訳を取り込み、日付、数値、通貨、改行を確認する
- 主要動線とエラーを各言語の実機で試す
- 原文変更時に影響する翻訳と公開資産を更新する
翻訳者へ単語だけを渡すと、動詞か名詞か、誰への敬語か、変数が何かを判断できません。
画面画像、前後文、文字数の制約、操作結果を添えます。
ストア審査に関わる機能説明もアプリと一致させます。
App Review Guidelinesを読み、提供していない機能を翻訳済み説明へ残さないでください。
三言語と八画面の確認件数を出す計算例
次の数字は、翻訳件数と画面テスト件数を分けるための仮定です。
日本語、英語、ドイツ語の3言語で、主要8画面を確認するとします。
基本表示は3言語×8画面で24件です。
各画面に通常と文字拡大の2状態を加えるなら、24件×2状態で48件になるでしょう。
| 確認 | 計算 | 件数 |
|---|---|---|
| 基本表示 | 3言語×8画面 | 24 |
| 文字拡大を追加 | 24件×2状態 | 48 |
全画面を同じ深さで見る前に、登録、決済、削除、エラーなど重要動線を優先します。
長い翻訳、複数形、日付、通貨、動的な利用者名を含む画面も重点対象です。
文字の長さとアクセシビリティを同時に試す
翻訳後の文字列は日本語より長くなる場合があり、固定幅のボタンや一行前提の見出しで切れます。
省略記号で隠す前に、折り返し、部品サイズ、レイアウト順を見直します。
文字拡大を有効にした利用者へ、小さい固定文字を強制しません。
デジタル庁のウェブアクセシビリティ資料を参考に、文字、見出し、代替テキスト、キーボード操作など該当項目を確認します。
色で言語や状態を区別すると情報が伝わらない場合があります。
カラーとアクセシビリティの資料に沿い、ラベル、形、アイコンを併用してください。
右から左へ読む言語を対象にする場合は、文字だけでなくナビゲーション、アイコン、数値、画像の方向を確認します。
言語を右寄せにしただけで完了とせず、対象言語の利用者に主要動線を操作してもらいます。
原文変更と翻訳更新を同じリリースで管理する
原文を変更したのに翻訳が古いままだと、言語ごとに機能説明が変わります。
文字列キー、原文版、翻訳状態、担当者、確認画面、公開版を翻訳台帳へ残します。
緊急修正では全翻訳を待てない場合があります。
既存訳を維持する、基準言語へ一時的に戻す、対象地域の公開を遅らせる選択肢を事前に決めてください。
機械翻訳は下訳に使えても、同意、課金、医療、安全、削除など重要文言は専門家と文脈を確認します。
翻訳の正しさと操作結果の正しさを別々にレビューします。
多言語対応アプリでよくある質問
英語を基準言語にしたほうがよいですか?
開発者の都合ではなく、最初の利用者、原文を管理できる担当者、法務確認、今後の展開地域で決めます。
基準言語は翻訳元として安定して更新できる言語を選んでください。
自動翻訳だけで公開できますか?
一般的な案内の下訳には使えても、文脈、用語、文字数、法的表現、操作結果の確認が必要です。
取り込みとテストの仕組みはXcodeの公式ローカライズ資料など対象OSの一次情報で確認します。
翻訳するたびに全画面をテストしますか?
変更したキーの利用画面と重要動線は必ず確認し、共通部品や用語集の変更では影響画面を広げます。
言語、端末、文字拡大の組み合わせをリスクで選び、公開版へ結果を記録してください。
翻訳資産と表示結果を同じ版で管理する
多言語対応の完成は、翻訳ファイルが埋まった状態ではありません。
各接点の文言が意味と操作結果に一致し、対象端末で読め、原文変更後も更新箇所を追える状態です。
- 翻訳資産に含めるUI、データ、通知、画像、ストア情報
- 用語集と翻訳文脈へ含める利用者、画面、操作結果、変数
- 表示テストを増やす言語、画面、文字拡大、重要動線の組み合わせ
- 翻訳台帳へ残すキー、原文版、状態、担当、確認画面、公開版
仕様書と海外担当者の認識をそろえるには、アプリ開発の英語表現と仕様書用語で曖昧な日本語を定義語へ変えられます。




