「今は個人事業主だから雇用保険に入っていない。教育訓練給付金はもう使えないのか」。現在の働き方だけで諦める必要はありませんが、事業主として納めている国民健康保険料や年金保険料が、教育訓練給付金の加入期間になるわけでもありません。
教育訓練給付金の対象になるかは、現在の事業形態ではなく、雇用保険の被保険者期間と離職日の記録で判定します。
会社員を退職してから原則1年以内に受講を始める場合や、現在も別の勤務先で雇用保険に加入している場合は、対象になる可能性があります。
反対に、開業してから一度も雇用保険の被保険者になっておらず、従業員としての雇用関係もない場合は、教育訓練給付金の要件を満たしません。
講座の候補を比較する前に、雇用保険の資格取得日と喪失日をハローワークで確定します。
受講料と対象講座を比べたい場合は、教育訓練給付金の対象講座・スクール比較で、給付区分と自己負担額を並べられます。
| 現在の状態 | 教育訓練給付金の見込み | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 個人事業主だけで働いている | 現在の事業主資格だけでは対象にならない | 過去の雇用保険加入期間と離職日 |
| 会社員を退職して開業した | 退職日の翌日から原則1年以内の開始なら対象の可能性 | 離職日、支給要件期間、指定講座 |
| 副業と会社員を続けている | 雇用保険に加入している勤務先があれば対象になり得る | 勤務先の資格取得記録 |
| 法人に雇用されている | 事業主の肩書きではなく、雇用契約と加入記録で判定 | 週の労働時間、雇用期間、被保険者証 |
個人事業主の国民年金や国民健康保険は代わりにならない
教育訓練給付金は雇用保険の給付です。
個人事業主が国民年金、国民健康保険、税金を納めていても、その支払記録だけで雇用保険の被保険者期間を満たすことにはなりません。
厚生労働省は、雇用保険の被保険者または被保険者であった人が、指定講座を受講して修了した場合に教育訓練経費の一部を支給すると説明しています。
制度の対象者と講座区分は、厚生労働省の教育訓練給付金案内で確認できます。
個人事業の売上や開業届は、雇用保険の資格取得を示す書類ではありません。
会社に雇用されていた時期の資格取得等確認通知書や、ハローワークの被保険者記録が判断材料になります。
過去の会社員期間と離職日を確認する
個人事業主でも、会社員を退職して間もない人は対象になり得ます。
退職日の翌日から講座の受講開始日までが原則1年以内で、区分ごとの支給要件期間を満たすことが必要です。
例えば2025年11月30日に会社を退職し、2026年1月に開業、2026年8月に指定講座を始める場合、開業した事実だけで対象外にはなりません。
離職日から受講開始日までの期間、過去の加入期間、前回の受給歴を別々に確認します。
| 記録 | 例 | 判定に使う意味 |
|---|---|---|
| 資格喪失日 | 2025年12月1日 | 離職日の翌日として1年の起点になる |
| 開業日 | 2026年1月15日 | 個人事業の開始日。雇用保険期間ではない |
| 受講開始日 | 2026年8月1日 | 原則1年以内かを判定する終点 |
| 被保険者期間 | 会社員として3年以上など | 区分ごとの支給要件期間を判定する |
離職後の適用対象期間と、初回利用の加入期間は、ハローワークの教育訓練給付金案内で確認します。
離職日と受講開始日の法的な扱いは、e-Govの雇用保険法にも定められています。
開業したからといって離職日が更新されるわけではなく、会社を退職した日が起点です。
副業の勤務先で雇用保険に入っている場合
個人事業をしながら会社にも雇用されている場合、会社との雇用関係が雇用保険の適用基準を満たせば、被保険者期間を持つことがある。
副業の売上があるかどうかではなく、雇用契約、週の所定労働時間、31日以上の雇用見込みを確認します。
雇用保険は、適用基準を満たす労働者について事業主が資格取得の届出を行う制度です。
基準と資格記録の照会方法は、厚生労働省の雇用保険加入確認案内に整理されています。
複数の仕事をしている場合、どの勤務先の資格記録が雇用保険に登録されているかを給与明細だけで決めません。
勤務先ごとの契約を持って、ハローワークへ加入状況を照会します。
加入期間の条件を30万円の講座で確認する
仮に会社員時代の雇用保険期間が3年以上あり、個人事業主へ転じて8か月後に一般教育訓練を始めるとします。
対象経費が30万円なら基本給付は6万円ですが、指定講座を修了し、期限内に申請して初めて支給されます。
| 判定項目 | 例 | 結果 |
|---|---|---|
| 過去の被保険者期間 | 3年以上 | 一般の初回要件を満たす可能性 |
| 離職から開始まで | 8か月 | 原則1年以内の範囲 |
| 対象経費 | 30万円 | 20%なら6万円の計算 |
| 受講の状態 | 指定講座を修了 | 支給申請の前提 |
一つでも記録が欠けると、計算した6万円を受け取れません。
受講料の請求書だけで判断せず、修了証明書と雇用保険の記録を同じフォルダに保存します。
対象経費の範囲は、厚生労働省の教育訓練経費Q&Aで照合できます。
パソコン代や交通費を給付計算に含めると、個人事業の経費と教育訓練給付金の対象経費を混同します。
フリーランスの講座選びで確認する表示
スクールが「フリーランス向け」「個人事業主向け」と案内していても、教育訓練給付金の対象講座であるとは限りません。
講座検索システムで、正式名称、指定区分、指定期間を確認し、スクールの宣伝文と公的な指定情報を分けて見ます。
講座の検索は、教育訓練講座検索システムで行えます。
申請先と書類は、厚生労働省の支給申請手続案内で、一般、特定一般、専門実践の区分に合わせて確認します。
個人事業主とフリーランスに関するよくある質問
個人事業主は教育訓練給付金をまったく使えませんか?
現在の個人事業主という資格だけでは、雇用保険の被保険者期間を作りません。
ただし、会社員を退職してから原則1年以内に受講を始める場合や、別の勤務先で雇用保険に加入している場合は、過去または現在の記録で対象になる可能性があります。
開業日ではなく雇用保険の資格を確認します。
フリーランスとして働きながら専門実践教育訓練を受けられますか?
フリーランスの売上だけでは、専門実践の受給資格を判定できません。
受講開始日の雇用保険資格、原則2年以上の初回支給要件期間、指定講座、受講前の資格確認をそろえる必要があります。
過去の会社員期間をハローワークへ照会します。
開業届を出した日が退職日になりますか?
開業届の提出日は、雇用保険の資格喪失日や離職日を置き換えません。
会社を退職した日と、雇用保険の資格を失った日を基準に、受講開始日までの期間を計算します。
開業後に受講を始める場合も、過去の離職日を記録に残します。
国民健康保険料を払っていれば加入期間になりますか?
国民健康保険や国民年金は雇用保険とは別の制度です。
保険料を納めていることだけで教育訓練給付金の被保険者期間にはなりません。
会社に雇用されていた期間の雇用保険記録を使って判定します。
開業日ではなく雇用保険の記録から受講可否を決める
個人事業主やフリーランスでも、過去の雇用保険期間と離職後の開始期限を満たせば、教育訓練給付金を利用できる可能性があります。
現在の売上、開業届、国民健康保険の支払いは、それだけで受給資格を作りません。
- 会社員を退職した日と雇用保険の資格喪失日を確認します。
- 離職日の翌日から受講開始日までが原則1年以内かを比べます。
- 副業の勤務先で雇用保険に加入しているかを確認します。
- 講座指定、対象経費、修了、申請期限を分けて管理します。
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