AIエンジニアに未経験や新卒が挑む!やめとけの真実と内定戦略

AIエンジニアに未経験や新卒が挑む!やめとけの真実と内定戦略

AIエンジニアという響き、めちゃくちゃかっこいいですよね。最先端の技術で世界を変える仕事、しかも年収も高いと聞けば、興味を持つのは当然ですよ。でも、ネットで検索すると「やめとけ」なんて言葉が出てきて不安になったり、「未経験の新卒でも本当になれるの?」と疑問に思ったりしていませんか。実は、AIエンジニアへの道は険しいですが、正しい戦略を知っていれば決して不可能ではないんです。数学の壁や激しい競争など、乗り越えるべきハードルはありますが、それをクリアした先には大きなチャンスが待っています。この記事では、厳しい現実もしっかりとお伝えした上で、あなたが市場で勝ち抜くための具体的なロードマップを提案しますね。

この記事のポイント
  • AIエンジニア市場における未経験者の立ち位置とリアルな採用実態
  • 「やめとけ」と言われる構造的な理由とそれを乗り越えるマインドセット
  • 新卒や未経験者がAIエンジニアとして採用されるための具体的な学習手順
  • ライバルに差をつけるポートフォリオ作成やインターンシップ活用術
目次

AIエンジニアに未経験や新卒が挑む市場の実態

まずは、AIエンジニアを目指す未経験の新卒が直面する、リアルな市場環境についてお話しします。生成AIブームで需要は爆発していますが、誰でもウェルカムというわけではありません。企業の採用担当者が今、何を考えているのか、そしてネット上のネガティブな噂の真偽や、具体的な年収、年代別のキャリア戦略について、綺麗事抜きで深掘りしていきますね。

AIエンジニアはやめとけと言われる理由と真実

Googleの検索窓に「AIエンジニア」と入力すると、サジェストのかなり上位に「やめとけ」「きつい」「後悔」といったネガティブなキーワードが出てきますよね。これを見て不安になる気持ち、痛いほどわかります。「もしかして、ブラックな職種なのかな?」と思ってしまうかもしれませんが、この言葉が出てくる背景には、単なる労働環境の問題だけではない、もっと構造的な理由があるんです。

最大の理由は、「数学の壁」と「技術の賞味期限の短さ」です。
多くの未経験者が「AIエンジニア=Pythonでライブラリを呼び出す仕事」だと誤解しています。確かに、Scikit-learnやKerasといった便利なツールを使えば、数行のコードでAIモデルっぽいものは作れます。でも、実務では「なぜその精度になったのか?」「なぜ予測が外れたのか?」を論理的に説明し、改善することが求められます。ここで必要になるのが、微分積分や線形代数、確率統計といった高度な数学知識です。エラーが出たときに、数式レベルで原因を特定できないと、エンジニアとしては手も足も出なくなってしまう。この「ブラックボックス化」への無力感が、挫折の大きな原因なんです。

さらに、「赤の女王」効果も強烈です。
ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』に出てくる「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」という言葉をご存じですか? AI業界はまさにこれです。Web開発の技術トレンドが数年単位で動くのに対し、AI分野、特に生成AI周辺は「先週の常識が今週は古い」というレベルでSOTA(最先端技術)が更新されます。業務時間外や休日を返上して、英語の論文(arXivなど)を読み漁り、新しいモデルを検証し続ける。この知的な持久走に耐えられない人にとっては、確かに「やめとけ」と言いたくなる過酷な環境かもしれません。

また、プロジェクトの特異性もあります。AI開発は「やってみないとわからない」という不確実性が高いものです。数ヶ月かけてデータを集め、モデルを作っても、ビジネスで使える精度が出ずにプロジェクトごと頓挫する「PoC(概念実証)死」も珍しくありません。「苦労して作ったのに何も残らなかった」という徒労感に心を折られるエンジニアも少なくないのです。

しかし、逆説的ですが、これだけハードルが高いからこそ、乗り越えた人材の市場価値は圧倒的です。AI人材の不足は国家的課題となっており、経済産業省の試算でも、2030年には数十万人規模の不足が予測されています。つまり、「やめとけ」という壁を登りきった人には、引く手あまたの未来が待っているということですよ。

(出典:経済産業省『IT人材需給に関する調査』)

Aiエンジニアの新卒年収とハイリターンな実態

厳しい現実をお話ししましたが、もちろん夢のある話もしましょう。皆さんが一番気になるであろう「お金」の話です。AIエンジニアの年収水準は、日本の全職種の中でもトップクラスに位置していますし、同じITエンジニアの中でもWeb系やインフラ系と比較して高水準です。

一般的なデータを見ると、日本の平均年収は約460万円程度ですが、AIエンジニアの平均年収は約600万円前後と言われています。これだけ見ても高いですが、実はAIエンジニアの年収分布は「平均」を見るあまり意味がありません。なぜなら、スキルや所属企業によって極端な二極化が進んでいるからです。

具体的に、新卒や未経験者が目指せる年収レンジを見てみましょう。

カテゴリ推定年収レンジ特徴と採用傾向
新卒(一般枠)300万〜450万円一般的なSIerやIT企業の初任給水準。研修を受けながら成長する枠。ポテンシャル採用がメイン。
新卒(スペシャリスト枠)600万〜1,000万円超NEC、DeNA、ソニー、LINEヤフーなどが設けている特別枠。学会での発表実績や高度な開発能力が必須。
20代後半(経験者)450万〜700万円実務経験3〜5年程度。Webエンジニアからの転向組も含む。できることの幅が広がると一気に上がる。
外資系・トップティア1,200万〜3,000万円Google, Amazon等のビックテックや有力AIベンチャー。英語力と世界レベルのコーディング力が必須。

特に注目すべきは、「新卒スペシャリスト枠」の存在です。従来の日本企業のような「横並びの初任給」という常識は、AI分野では崩壊しています。優秀な学生であれば、いきなり年収1,000万円プレイヤーとして迎えられることも現実にある話なんです。

「でも、それって東大とか京大の院卒だけでしょ?」と思うかもしれません。確かに、統計数理研究所や有名大学の研究室出身者(修士・博士)は有利です。大手企業の研究開発職(R&D)では、修士号以上を応募要件にしていることがほとんどですから。

しかし、学部卒や専門卒、あるいは文系出身者にもチャンスはあります。その鍵となるのが、「客観的な技術証明」です。例えば、競技プログラミングの「AtCoder」で水色以上のランクを持っていたり、Kaggleでメダルを獲得していたりすれば、学歴の壁を飛び越えて高い評価を得ることができます。「どこの大学を出たか」よりも「今、何ができるか」が問われる、ある意味では非常にフェアで実力主義な世界だと言えるでしょう。

AIエンジニアの新卒採用を行う企業の種類と特徴

「AIエンジニアになりたい!」と思っても、どの企業に入るかでその後のキャリアや働き方、そして年収は大きく変わります。就職活動や転職活動では、企業のタイプごとの特徴をしっかり理解しておくことが重要です。ここでは大きく4つのカテゴリに分けて解説します。

1. SIer(システムインテグレーター)

NTTデータ、野村総合研究所(NRI)、NEC、富士通などが代表例です。クライアント企業から依頼を受けてシステムを開発します。
メリット: 教育制度が充実しており、未経験からでもじっくり育ててもらえる環境があります。大規模なインフラと組み合わせた社会的なプロジェクトに関われるのも魅力です。
デメリット: いわゆる「配属ガチャ」のリスクがあります。AIエンジニアとして採用されたはずが、レガシーシステムの保守運用部門に配属される…なんてことも。また、技術スタックが保守的で、最新技術を使いにくい場合もあります。

2. Web系・メガベンチャー・自社開発企業

LINEヤフー、楽天グループ、メルカリ、サイバーエージェントなど。自社のWebサービスやアプリにAI機能を実装します。
メリット: 「レコメンド機能でクリック率が上がった」など、ユーザーの反応がダイレクトにわかるため、やりがいを感じやすいです。技術選定の自由度が高く、リモートワークや私服勤務など自由な社風が多いのも特徴。
デメリット: サービスがヒットしなければ事業撤退のリスクが常にあります。また、即戦力性が求められるため、手取り足取り教えてもらうというよりは「自走できる人」が求められます。

3. AIベンダー・スタートアップ

Preferred Networks、PKSHA Technology、HEROZなど。AI技術そのものをコアコンピタンスとしています。
メリット: 社内にはとんでもなく優秀なエンジニアがゴロゴロいます。技術的な切磋琢磨ができる最高の環境でしょう。経営陣との距離も近く、ビジネスの意思決定に関われるチャンスもあります。
デメリット: 少数精鋭のため、一人当たりの業務負荷は高くなりがちです。また、創業間もないスタートアップの場合、経営基盤が不安定なこともあります。

4. 非IT企業(ユーザー系)のDX部門

トヨタ自動車、ソニー、大手銀行、製薬会社など。今、最も採用が熱いのがこの領域です。
メリット: 何と言っても「現場のリアルなデータ」を大量に持っていることが最強の武器です。データへのアクセス権限があり、ドメイン知識(業界知識)を活かした本質的な課題解決ができます。年収も高く、雇用も安定しています。
デメリット: 社内全体のITリテラシーがまだ低い場合があり、AIの理解を得るための「社内政治」や調整業務に忙殺される可能性があります。

どの環境が自分に合っているか、イメージできましたか? 未経験からITエンジニアを目指す際の職種選びや適性については、以下の記事でも詳しく解説していますので、併せて読んでみてくださいね。

未経験から最短でITエンジニアになるには?目指す方法や向いている人の特徴

AIエンジニア未経験の20代が採るべき戦略

あなたが今20代で、これからAIエンジニアを目指すなら、結論から言うと「大チャンス」です。20代、特に新卒や第二新卒の時期は、企業側も「今のスキル」以上に「将来の伸びしろ(ポテンシャル)」を評価してくれるからです。

理系(情報系、数学系、物理系)出身であれば、未経験でも基礎的な素養があるとみなされ、比較的スムーズに選考が進むでしょう。では、文系や非情報系の出身者はどうすればいいでしょうか? 諦める必要はありませんが、戦略が必要です。

まずおすすめしたいのが、「プログラミングスクールや独学でポートフォリオを作り、実力を証明する」こと。ポテンシャル採用とはいえ、何もしない人を採用するほど企業も甘くありません。「文系ですが、半年間毎日Pythonを勉強して、こんなアプリを作りました」という実績があれば、熱意と学習能力の証明になります。

【キャリアの迂回ルートも検討しよう】
いきなりAI専業の職種につくのが難しい場合、まずは「Webエンジニア」や「データアナリスト」としてIT業界に入り込むのも賢い戦略です。まずは開発の実務経験を積み、そこから社内公募やプロジェクトへの挙手で徐々にAI領域に関わっていく。この「わらしべ長者」的なルートは、実は多くの先輩エンジニアが通ってきた成功パターンなんです。

20代は吸収力が違います。給与条件にこだわりすぎず、まずは「現場で経験を積める環境」に飛び込むことを最優先にしてください。3年間の実務経験があれば、その後のキャリアはいかようにも選べるようになりますよ。

AIエンジニア未経験の30代に立ちはだかる壁

30代になると、状況は少しシビアになります。「ポテンシャル採用」の枠は閉じられ、代わって「即戦力性」が求められるようになるからです。「未経験です、やる気はあります、教えてください」というスタンスでは、書類選考を通過するのも難しくなるでしょう。

では、30代未経験からAIエンジニアになるにはどうすればいいか。勝機は「ドメイン知識 × AI」の掛け合わせにあります。
AIはあくまでツールです。重要なのは「AIを使って何の課題を解決するか」です。ここで、あなたのこれまでの社会人経験が活きてきます。

  • 金融業界出身なら: FinTech領域で、株価予測や与信審査AIの開発に関わる。金融の専門用語や法規制を知っていることは、純粋なエンジニアにはない強みです。
  • 医療・製薬業界出身なら: ヘルステックや創薬AIの分野で、現場のフローを理解したAI導入を提案できる。
  • 小売・流通業界出身なら: 需要予測や在庫最適化のシステム開発において、現場のオペレーションを考慮した設計ができる。

このように、前職の知識(ドメイン知識)を武器にすることで、「技術力はジュニアレベルだけど、業務理解はシニアレベル」という独自のポジションを築くことができます。
また、30代からは効率的な学習も求められます。独学で時間を浪費するより、自分に合ったスクールや学習環境を見つけて最短距離を走ることも検討してみてください。30代からのプログラミング学習については、こちらの記事も参考になりますよ。30代未経験でプログラミングは遅い?30代でも無駄ではなかった事例集

AIエンジニア未経験の40代からの転身難易度

40代未経験からのAIエンジニア転身。正直に申し上げますと、これは「修羅の道」です。20代の若手エンジニアが数日で習得する新技術を、同じスピードでキャッチアップし続けなければならない。しかも、年下の上司から指示を受け、素直に修正できるかどうかも問われます。採用企業側も、「扱いづらいのではないか」「頭が固いのではないか」というバイアスを持って見てくるのが現実です。

しかし、「不可能」ではありません。40代が狙うべきは、コードをバリバリ書く「プレイヤー」ではなく、プロジェクト全体を俯瞰して推進する「AIプロジェクトマネージャー(PM)」や「AIコンサルタント」のポジションです。

AIプロジェクトは、技術的な難易度もさることながら、ビジネスサイドとの調整や要件定義、予算管理が非常に難しいプロジェクトです。若いエンジニアは技術には強くても、こうした「大人の調整事」や「ビジネスへの落とし込み」が苦手なケースが多々あります。
そこで、あなたのこれまでのマネジメント経験やビジネス経験が活きるのです。「技術の詳細はエンジニアに任せつつ、プロジェクトのゴールを設定し、障害を取り除いてチームを走らせる」。この役割であれば、40代からでもAI業界に参入する余地は十分にあります。

【アンラーニング(学習棄却)の重要性】
40代が成功するための最大の鍵は、プライドを捨てて「新人として学ぶ姿勢」を持てるかどうかです。過去の成功体験にしがみつかず、新しい技術や文化を素直に受け入れる「アンラーニング」ができる人は、年齢に関係なく重宝されます。

40代からの具体的な生存戦略については、以下の記事でさらに詳しく解説されています。厳しい現実を直視しつつ、自分だけの勝ち筋を見つけたい方は必読です。AIエンジニア未経験40代の生存戦略 30代との違いと勝機

AIエンジニアへ未経験や新卒がなるための手順

ここまで市場のリアルについてお話ししてきましたが、ここからは「じゃあ、具体的に何をすればいいの?」という疑問にお答えしていきます。未経験や新卒の方がAIエンジニアの内定を勝ち取るための、実践的なロードマップです。ただ「勉強しました」だけでは通用しない世界で、どうやって自分を差別化し、売り込んでいくか。その具体的な戦術を練りましょう。

未経験からAIエンジニアになるには数学が必須

多くの未経験者が最初に直面し、そして挫折するのがこの「数学の壁」です。「文系だから数学は無理」「ツールを使えばいいんでしょ?」と逃げたくなる気持ちはわかります。でも、本気でAIエンジニアを目指すなら、数学から逃げてはいけません。

なぜなら、AI(特に機械学習やディープラーニング)の背後にあるのは、純粋な数学だからです。モデルの挙動を理解し、適切なパラメータ調整やトラブルシューティングを行うには、以下の3つの分野の知識がどうしても必要になります。

  1. 線形代数(Linear Algebra)
    AIは画像や文章などのデータを、すべて「数字の羅列(ベクトルや行列)」に変換して処理します。大量のデータを効率よく計算するために、行列演算の知識は必須です。これを知らないと、TensorFlowやPyTorchのコードの意味が全く理解できません。
  2. 微分積分(Calculus)
    AIが賢くなる(学習する)仕組みは、「誤差を最小化する」ことです。この最小値を求めるために使われるのが「勾配降下法」などの最適化アルゴリズムであり、その基礎となるのが微分です。
  3. 確率・統計(Probability & Statistics)
    データから傾向を読み取ったり、AIが出した予測の確信度を評価したりするために必要です。ベイズ統計や仮説検定などの知識がないと、データの嘘に騙されてしまいます。

「うわ、もう無理かも…」と思いましたか? 安心してください。大学の数学科レベルの厳密な証明ができる必要はありません。「この数式が何を意味しているのか」「プログラムでどう表現されるのか」というイメージと直感的な理解ができれば十分です。
学習の指標としては、日本ディープラーニング協会が実施している「G検定(ジェネラリスト検定)」のテキストを一通り読み、数式の意味を理解できるようになることを最初のゴールにすると良いでしょう。

Pythonの習得と実践的な学習ステップ

数学の基礎固めと並行して、プログラミング言語の習得を進めます。選ぶべき言語は迷わずPython一択です。AI開発の現場ではデファクトスタンダードとなっており、ライブラリの充実度、学習リソースの多さ、コミュニティの活発さ、どれをとっても他を圧倒しています。

効率的な学習ステップは以下の通りです。この順番を間違えると、いきなり難しいことをやって挫折する原因になります。

STEP 1:Pythonの基本文法をマスターする

変数、データ型、条件分岐(if文)、ループ(for/while文)、関数、クラス(オブジェクト指向)といった基礎を固めます。環境構築でつまずかないよう、最初はブラウザだけで動く「Google Colaboratory」を使うのがおすすめです。

STEP 2:データサイエンス用ライブラリ「三種の神器」を習得する

AI開発の現場では、Pythonの基本機能だけでコードを書くことは稀です。以下の3つのライブラリは、呼吸をするように使えるレベルまで習熟する必要があります。

  • NumPy(ナンパイ) 高速な数値計算を行うためのライブラリ。行列計算などで使います。
  • Pandas(パンダス) 表形式のデータを扱うライブラリ。実務の8割を占めると言われる「データの前処理(整形)」で最も酷使します。
  • Matplotlib / Seaborn データをグラフ化して可視化するライブラリ。データの傾向を目で見て確認するために必須です。

STEP 3:機械学習・深層学習フレームワークの実践

ここからがいよいよ本番です。「Scikit-learn」を使って基本的な機械学習アルゴリズム(回帰、SVM、ランダムフォレストなど)を実装し、「どんなデータにどのモデルが効くか」を肌感覚で学びます。その後、「PyTorch」や「TensorFlow (Keras)」を使ってディープラーニングの実装に挑戦しましょう。現在は研究・実務ともにPyTorchのシェアが拡大しているので、迷ったらPyTorchから入るのが無難です。

Pythonを効率よく学ぶためには、独学だけでなくスクールの活用も検討してみてください。プロのメンターがつくと学習速度が段違いです。

Pythonが学べるおすすめプログラミングスクール!選び方と特徴を解説

AIエンジニア就活を勝ち抜くポートフォリオ

書類選考や面接で、採用担当者が最も重視するのが「ポートフォリオ(成果物)」です。未経験者の場合、実務経験がない分、このポートフォリオで「技術力」と「熱意」を証明するしかありません。

ただし、注意点があります。ネット上のチュートリアルやスクールの教材をそのままコピーしただけの「タイタニックの生存予測」や「手書き数字認識(MNIST)」を提出しても、ほとんど評価されません。なぜなら、それは「答えを見ながら写経しただけ」と思われるからです。

評価されるポートフォリオの条件は、「オリジナリティ」と「課題解決の視点」があることです。

  • 身近な課題を解決するもの: 「毎朝の服選びを提案してくれるAI」「近所のラーメン屋の行列を予測するアプリ」など、独自の着眼点があるか。
  • 技術的な工夫があるか: 既存のモデルをそのまま使うだけでなく、パラメータを調整したり、データを独自に収集・加工したりしたプロセスがあるか。
  • GitHubでの公開: ソースコードが見やすく管理されているか。そして何より、README(説明書)が充実しているかが重要です。「背景」「使用技術」「苦労した点」「改善点」などが論理的に書かれていると、ドキュメント作成能力も高く評価されます。

また、ポートフォリオ以外にも、客観的なスキルの証明として「Kaggle(カグル)」などのデータ分析コンペティションでの実績や、競技プログラミング「AtCoder」のランク(色)も非常に強力な武器になります。特にAtCoderで水色以上のランクがあれば、未経験でも「地頭が良い」「アルゴリズムに強い」とみなされ、即戦力級の評価を得られるケースが多いです。

選考突破に不可欠なインターンシップの活用

最後に、新卒や学生の方に向けて最強のカードを紹介します。それは「長期インターンシップ」です。

はっきり言いますが、1dayの会社説明会のようなインターンは、企業の広報活動の一環に過ぎず、実力の証明にはなりません。ここで言うインターンとは、週に数日、数ヶ月間にわたって実際にオフィス(またはリモート)で働き、社員と同じような実務を行う「就業型」のインターンのことです。

【長期インターンのメリット】
1. 実務経験が積める 「未経験」の枠を脱出し、「実務経験あり」として履歴書に書けるようになります。
2. 内定直結のチャンス 優秀だと認められれば、そのまま早期選考ルートに乗ったり、いきなり内定が出たりすることも珍しくありません。
3. ミスマッチ防止 実際に働くことで、「思っていた仕事と違う」という入社後の悲劇を防げます。

「いきなり大手企業のインターンはハードルが高い…」という場合は、まずはベンチャー企業のインターンに飛び込んでみてください。そこで泥臭く手を動かして実績を作り、その経験をエピソードトークとして話せるようになれば、本命の大手企業の選考でも圧倒的に有利になります。いわゆる「わらしべ長者戦略」ですね。怖がらずに、まずは現場の空気を吸いに行くことが、内定への一番の近道ですよ。

未経験や新卒でAIエンジニアを目指す人のまとめ

今回は、AIエンジニアを未経験の新卒や異業種から目指す際の実情と対策について、かなり踏み込んで解説してきました。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。

  • 「やめとけ」と言われるのは、数学の壁が高く、技術の陳腐化スピードが凄まじい「終わりのない学習」が必要だから。生半可な気持ちでは続かない。
  • 新卒でもスキル次第で年収1,000万円超えは夢じゃないが、企業やスキルによる格差も激しい実力主義の世界。
  • 20代はポテンシャル重視でチャンス大。30代以降はドメイン知識との掛け合わせや、ビジネス視点が必須になる。
  • 数学(線形代数・微積・統計)から逃げずに基礎を固めることが、エンジニアとしての寿命を延ばす。
  • ポートフォリオや長期インターンで「オリジナリティ」と「実戦経験」を証明することが、内定への最強の武器になる。

AIエンジニアへの道は決して楽なピクニックではありません。険しい登山のようなものです。しかし、その山頂から見える景色――市場平均を大きく上回る報酬、社会的インパクトの大きい仕事、そして最先端技術を操る知的な興奮――は、何物にも代えがたい魅力があります。

「数学が苦手だから」「文系だから」「未経験だから」と自分で限界を決めて諦める前に、まずは今日からPythonを触ってみたり、統計の入門書を1ページ読んでみたりすることから始めてみませんか。その小さな一歩が、あなたのキャリアを大きく変えるきっかけになるはずです。応援しています!

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この記事を書いた人

当編集部は、「今すぐ生成AIスキルを身につけたい」という切実なニーズをお持ちの方へ、最適なプログラミングスクールをご案内する専門メディアです。大手プログラミングスクール、専門特化型スクール、オンライン完結型スクールの最新情報を調査して、実際の受講期間、カリキュラム内容、転職サポートの有無など、即戦力エンジニアになるために必要なすべての情報を検証済みデータとしてお届けします。編集メンバーには現役AIエンジニアが在籍。最新の技術トレンドと実務で求められるスキルセットを最優先に、正確な情報提供を心がけています。キャリアチェンジを急ぐ方でも最良の選択ができるよう、最新情報を発信しています。

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