「体調が悪いのに、お金がなくて病院に行けない…」
「医療費を払えるか不安で、受診をためらってしまう…」
このような悩みを抱えている方は、決して少なくありません。実は日本には、経済的に困っている方でも医療を受けられるよう、さまざまな公的制度が整備されています。結論からお伝えすると、お金がなくても病院に行く方法は必ずあります。
本記事では、以下の情報を詳しく解説していきます。
- 今すぐ病院に行きたい方向けの即日対応可能な方法
- 医療費を無料〜低額にできる公的制度の詳細と申請手順
- 健康保険がない・保険料を滞納している場合の対処法
- 困ったときに相談できる窓口一覧と連絡先
お金の心配で治療を先延ばしにしてしまうと、症状が悪化してさらに高額な医療費がかかってしまうこともあります。
まずはこの記事を読んで、あなたの状況に合った解決策を見つけていただければ幸いです。
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【結論】お金がなくても病院に行ける!状況別の対処法一覧
まずは結論として、お金がないときに病院に行くための方法を状況別にまとめました。ご自身の状況に最も近いものを確認して、具体的な対処法を選んでいただければと思います。
厚生労働省では、経済的な理由で医療を受けられない方のために、複数の支援制度を設けています。これらの制度を上手に活用することで、お金がない状態でも必要な医療を受けることが可能です。
| 状況 | おすすめの対処法 | 特徴 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 今日すぐ病院に行きたい | 無料低額診療制度 | 即日利用可能・保険証なしでもOK | 実施医療機関の窓口 |
| 今日すぐ病院に行きたい | 病院での後払い・分割払い相談 | 多くの病院で対応可能 | 病院の会計窓口 |
| 数日待てる | 高額療養費制度・限度額適用認定証 | 医療費の上限を設定できる | 加入している健康保険 |
| 保険証がない | 無料低額診療制度 | 無保険でも利用可能 | 実施医療機関の窓口 |
| 保険料を滞納中 | 一部負担金減免制度 | 滞納中でも医療費軽減可能 | 市区町村の国保窓口 |
| 長期治療が必要 | 自立支援医療制度 | 精神科の医療費が1割負担に | 市区町村の障害福祉課 |
| 生活自体が苦しい | 生活保護(医療扶助) | 医療費が完全無料に | 福祉事務所 |
対処法を選ぶ3つのポイント
ポイント①:緊急度で選ぶ
今日・明日中に病院に行きたい場合は、「無料低額診療制度」または「病院への直接相談」が最も早い解決策です。これらは事前の申請手続きなしで、当日から利用できる可能性があります。
ポイント②:保険証の有無で選ぶ
健康保険証をお持ちの方は、高額療養費制度や限度額適用認定証を活用することで、医療費の自己負担を大幅に抑えられます。保険証がない方でも、無料低額診療制度は国籍や保険加入状況を問わず利用できます。
ポイント③:治療期間で選ぶ
一時的な治療であれば無料低額診療制度で対応できますが、長期的な通院が必要な場合は、自立支援医療制度や生活保護の医療扶助を検討することで、継続的に医療費の負担を軽減できます。
それでは、それぞれの対処法について詳しく解説していきます。
今すぐ病院に行きたい人向け|即日で使える3つの方法
「今日中に病院に行きたいけど、手持ちのお金がない」という緊急の状況でも、諦める必要はありません。
ここでは、事前の申請手続きなしで当日から利用できる可能性のある3つの方法をご紹介します。
方法①「無料低額診療」を実施している病院に行く
全日本民医連によると、無料低額診療事業とは、経済的に困っている方が無料または低額な料金で医療を受けられる制度です。社会福祉法第2条第3項第9号に基づく第二種社会福祉事業として、全国約700カ所以上の医療機関で実施されています。
この制度の最大のメリットは、保険証がなくても、今日すぐに利用できるという点です。実施している医療機関に直接行き、窓口で「無料低額診療を利用したい」と伝えるだけで、相談を始めることができます。
無料低額診療の対象となるのは、以下のような方々です。
- 低所得者(収入が生活保護基準の概ね120〜140%以下)
- ホームレスの方
- DV被害者
- 失業中で収入がない方
- 外国籍で健康保険に加入していない方
具体的な利用の流れとしては、まず実施医療機関の窓口で相談し、医療ソーシャルワーカーとの面談を受けます。その後、収入状況などを確認した上で、減免の適用が判断されます。多くの場合、当日または数日以内に結果が出ますので、緊急性の高い症状がある方でも安心して利用できます。
ただし、注意点として、無料低額診療は申請した医療機関でのみ有効です。また、調剤薬局での処方薬代は原則として対象外となりますが、院内処方を行っている医療機関であれば、薬代も含めて減免を受けられる場合があります。
一部の自治体では、院外処方の薬代についても独自に助成を行っているところもありますので、窓口で確認してみてください。
方法②病院の窓口で「後払い・分割払い」を相談する
厚生労働省の通知では、医療機関は正当な理由なく診療を拒否できない「応召義務」が定められています。そのため、多くの病院では、すぐに全額を支払えない患者さんに対して、後払いや分割払いに応じてくれる場合があります。
具体的には、以下のような対応が可能な場合があります。
- 支払い期限の延長(翌月末まで、など)
- 分割払い(毎月一定額ずつ支払う)
- 一部を先に支払い、残りを後日支払う
相談する際のポイントは、会計時ではなく、できれば受付時や診察前に相談することです。「今日は手持ちがないのですが、〇日には支払えます」と具体的に伝えることで、病院側も対応しやすくなります。
また、入院や手術など高額な医療費がかかることが予想される場合は、事前に病院の「医事課」や「患者相談窓口」に相談しておくことをおすすめします。病院によっては、支払い計画書を作成してくれたり、利用できる公的制度を案内してくれたりすることもあります。
ご心配な点もあるかと思いますが、お金がないことを正直に伝えることは決して恥ずかしいことではありません。病院側も、患者さんが治療を受けられないことを望んでいるわけではありませんので、まずは相談してみてください。
方法③医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談する
医療ソーシャルワーカー(MSW)とは、病院や診療所で患者さんやそのご家族の相談に応じる専門職です。医療費の問題だけでなく、生活全般の困りごとについて一緒に解決策を考えてくれます。
医療ソーシャルワーカーは、主に以下のような相談に対応しています。
- 医療費の支払いに関する相談
- 利用できる公的制度の案内と申請のサポート
- 退院後の生活支援
- 療養中の不安や悩みの相談
相談は無料で、予約なしで対応してくれる病院も多いです。「地域医療連携室」「患者相談室」「医療福祉相談室」など、病院によって名称は異なりますが、総合受付で「医療費の相談をしたい」と伝えれば、案内してもらえます。
医療ソーシャルワーカーに相談するメリットは、あなたの状況に合った制度を提案してもらえるという点です。公的制度は種類が多く、自分で調べるのは大変ですが、専門家に相談することで、最適な解決策を見つけることができます。
特に、「どの制度が使えるかわからない」「申請手続きが難しそう」という方は、まず医療ソーシャルワーカーに相談することをおすすめします。申請書類の書き方を教えてもらえたり、場合によっては窓口への同行支援を受けられたりすることもあります。
無料低額診療制度とは?利用条件・申請方法を詳しく解説
無料低額診療制度は、お金がなくて病院に行けない方にとって、最も活用しやすい制度の一つです。
ここでは、制度の詳細と具体的な利用方法について詳しく解説していきます。
無料低額診療制度の対象者と利用条件
社会福祉法に基づく無料低額診療事業は、「生計困難者が経済的な理由によって必要な医療を受ける機会を制限されることのないよう」設けられた制度です。
厚生労働省では、無料低額診療の対象者として以下の方々を挙げています。
- 低所得者
- 要保護者(生活保護を受けていないが、それに近い生活状況の方)
- ホームレスの方
- DV(家庭内暴力)被害者
- 人身取引被害者
具体的な収入基準は医療機関によって異なりますが、多くの場合、生活保護基準の概ね120%以下であれば全額免除、140%以下であれば一部減額の対象となります。
例えば、東京都の単身世帯の場合、生活保護基準は月額約13万円程度ですので、月収が約15〜16万円以下であれば全額免除、約18万円以下であれば一部減額の対象となる可能性があります。ただし、これはあくまで目安であり、実際の判断は各医療機関で行われます。
重要なポイントとして、健康保険に加入しているかどうか、国籍は問われません。保険証がない方、外国籍の方でも利用できますので、該当する方はぜひ相談してみてください。
無料低額診療を実施している病院の探し方
無料低額診療を実施している医療機関は、全国に約700カ所以上あります。お住まいの地域で実施している病院を探す方法は、主に以下の3つです。
方法1:全日本民医連のウェブサイトで検索する
全日本民医連のウェブサイトでは、無料低額診療を実施している医療機関の一覧を都道府県別に公開しています。お住まいの地域名で検索すると、最寄りの実施医療機関を見つけることができます。
方法2:自治体のホームページで確認する
都道府県や市区町村のホームページでも、無料低額診療事業を実施している医療機関の一覧を公開している場合があります。「〇〇県 無料低額診療」「〇〇市 無料低額診療」などで検索してみてください。
方法3:福祉事務所や社会福祉協議会に問い合わせる
お住まいの地域の福祉事務所や社会福祉協議会に電話で問い合わせると、最寄りの実施医療機関を教えてもらえます。相談も受け付けていますので、制度について詳しく知りたい方は、こちらに連絡するのもおすすめです。
無料低額診療の申請手順と必要書類
無料低額診療を利用する際の具体的な手順は以下の通りです。
ステップ1:実施医療機関の窓口で相談する
まずは、無料低額診療を実施している医療機関の受付窓口で「無料低額診療を利用したい」と伝えます。その場で、医療ソーシャルワーカーや相談員との面談の日程を調整してもらえます。緊急性が高い場合は、当日中に面談を受けられることもあります。
ステップ2:医療ソーシャルワーカーと面談する
面談では、現在の生活状況や収入、困っていることなどを聞かれます。正確に答えることで、あなたに合った支援を受けることができます。プライバシーは守られますので、安心してお話しください。
ステップ3:必要書類を提出する
面談後、以下のような書類の提出を求められる場合があります。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 収入を証明する書類(給与明細、年金通知書、非課税証明書など)
- 健康保険証(お持ちの場合)
- 住民票(求められる場合)
書類がすぐに用意できない場合でも、まずは相談を受け付けてもらえることが多いです。後から提出する形で対応してもらえますので、書類が揃っていなくても諦めずに相談してみてください。
ステップ4:減免の可否が決定される
提出された書類と面談内容をもとに、医療機関内で減免の可否が判断されます。多くの場合、数日以内に結果が出ます。減免が認められると、「無料・低額診療券」が交付され、以後の診療で使用できます。
無料低額診療制度の注意点と限界
無料低額診療制度は非常に有用な制度ですが、いくつかの注意点もあります。
利用する前に確認しておきましょう。
注意点1:申請した医療機関でのみ有効
無料低額診療の減免は、申請した医療機関でのみ適用されます。他の病院で診療を受ける場合は、その病院でも改めて申請が必要です。
注意点2:調剤薬局での処方薬代は原則対象外
院外処方の場合、調剤薬局での薬代は無料低額診療の対象外となります。ただし、一部の自治体では独自に薬代の助成を行っているところもありますので、窓口で確認してみてください。また、院内処方を行っている医療機関であれば、薬代も含めて減免を受けられます。
注意点3:適用期間に制限がある場合が多い
無料低額診療は、あくまで一時的な措置として位置づけられています。多くの医療機関では、適用期間を原則1〜3カ月程度としており、その後は生活保護の申請や健康保険への加入など、他の制度への移行を促されることがあります。
注意点4:すべての診療科で実施しているとは限らない
医療機関によっては、一部の診療科のみで無料低額診療を実施している場合があります。受診したい診療科で利用できるかどうか、事前に確認しておくことをおすすめします。
これらの注意点はありますが、無料低額診療制度は「今すぐ病院に行きたいけどお金がない」という方にとって、最も頼りになる制度の一つです。まずは実施医療機関に相談してみることをおすすめします。
医療費の負担を軽くする公的制度5選
健康保険に加入している方であれば、高額な医療費がかかった場合でも、公的制度を活用することで自己負担を大幅に抑えることができます。
ここでは、代表的な5つの制度について詳しく解説していきます。
高額療養費制度|医療費の自己負担に上限を設ける
高額療養費制度とは、1カ月(1日〜月末)の医療費の自己負担額が一定の限度額を超えた場合に、超えた分が後から払い戻される制度です。
例えば、70歳未満で年収約370万〜770万円の方の場合、1カ月の自己負担限度額は約80,100円(+医療費が267,000円を超えた場合はその1%)となっています。仮に医療費の自己負担額が30万円かかったとしても、約80,100円を超えた分は後から払い戻されますので、実質的な負担は約8万円程度に抑えられます。
自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。
以下は70歳未満の方の限度額の目安です。
| 所得区分 | 1カ月の自己負担限度額 |
|---|---|
| 年収約1,160万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
| 年収約770万〜1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
| 年収約370万〜770万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
| 年収約370万円以下 | 57,600円 |
| 住民税非課税世帯 | 35,400円 |
また、直近12カ月間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合は、4回目以降は「多数回該当」として、さらに低い限度額が適用されます。長期にわたって治療が必要な方にとって、大きな助けとなる仕組みです。
申請先は、加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、国民健康保険など)です。診療を受けた月の翌月1日から2年以内に申請する必要がありますので、忘れずに手続きしましょう。
限度額適用認定証|窓口での支払いを抑える
高額な医療費がかかることがわかっている場合、事前に「限度額適用認定証」を取得しておくことをおすすめします。
高額療養費制度では、いったん窓口で全額を支払った後、後から払い戻しを受ける形になります。しかし、限度額適用認定証を提示すれば、窓口での支払いを最初から自己負担限度額までに抑えることができます。
つまり、100万円の医療費がかかった場合でも、限度額適用認定証があれば、窓口で支払うのは最初から約8万円程度で済むのです。一時的に大金を用意する必要がなくなりますので、入院や手術を予定している方は、ぜひ事前に取得しておくことをおすすめします。
申請方法は簡単です。加入している健康保険の窓口に申請書を提出するだけで、通常は数日〜1週間程度で交付されます。マイナンバーカードを保険証として利用している場合は、限度額適用認定証がなくても、医療機関の窓口で自動的に限度額が適用されることもあります。
一部負担金減免制度|保険料を払っている人向け
国民健康保険法第44条に基づく一部負担金減免制度は、災害や失業、病気などで収入が著しく減少し、医療費の支払いが困難になった方を対象とした制度です。
この制度を利用すると、医療費の自己負担分(通常3割)の一部または全部が減免される可能性があります。
対象となるのは、主に以下のような場合です。
- 震災、風水害、火災などの災害により、資産に重大な損害を受けた場合
- 事業の休廃止や失業などにより、収入が著しく減少した場合
- 上記に類する理由により、一時的に生活が困難になった場合
申請先は、お住まいの市区町村の国民健康保険課です。減免の基準や期間は自治体によって異なりますので、詳しくは窓口でご確認ください。
なお、この制度は国民健康保険に加入している方が対象です。会社員の方で協会けんぽや健康保険組合に加入している場合は、別途、加入している健康保険に相談してみてください。
傷病手当金|働けない期間の生活を支える
病気やケガで働けなくなった場合の生活を支える制度として「傷病手当金」があります。
傷病手当金とは、病気やケガのために会社を休み、十分な報酬が受けられない場合に、健康保険から支給される手当金です。医療費そのものを軽減する制度ではありませんが、働けない期間の収入を補てんすることで、医療費の支払い負担を軽減することができます。
支給額は、1日あたり標準報酬日額の3分の2相当額です。例えば、月給30万円の方であれば、1日あたり約6,600円が支給されます。支給期間は、同一の傷病について最長1年6カ月です。
支給を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 業務外の病気やケガのための療養中であること
- 療養のために労務に服することができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間に給与の支払いがないこと
申請先は、加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合など)です。
なお、国民健康保険には傷病手当金の制度がありませんので、ご注意ください(一部の自治体では独自に設けている場合があります)。
自立支援医療制度|精神科の通院費を1割負担に
厚生労働省の自立支援医療制度(精神通院医療)を利用すると、精神科や心療内科への通院にかかる医療費の自己負担が、通常の3割から1割に軽減されます。
対象となるのは、以下のような精神疾患で継続的な通院治療が必要な方です。
- うつ病、躁うつ病(双極性障害)
- 統合失調症
- 不安障害、パニック障害
- てんかん
- 認知症
- 薬物依存症、アルコール依存症
- その他の精神疾患
さらに、世帯の所得に応じて、1カ月あたりの自己負担額に上限が設けられます。例えば、市町村民税非課税世帯であれば月額2,500円または5,000円が上限となり、それ以上の支払いは免除されます。
申請先は、お住まいの市区町村の障害福祉課です。申請には、主治医の診断書(自立支援医療用)が必要となりますので、まずは通院先の医療機関に相談してみてください。
精神科への通院は長期にわたることが多いため、この制度を活用することで、トータルの医療費を大幅に抑えることができます。「お金がないから精神科に通えない」と悩んでいる方は、ぜひ利用を検討してみてください。
健康保険がない・保険料を滞納している場合の対処法
「健康保険証がない」「保険料を滞納している」という状況でも、病院に行く方法はあります。
ここでは、そのような状況にある方向けの対処法を詳しく解説していきます。
無保険でも「無料低額診療」は利用できる
先ほどもご紹介した無料低額診療制度ですが、健康保険に加入していない方でも利用できるという点が大きな特徴です。
無料低額診療の対象者には「医療保険に加入しているかどうか、国籍は問わない」と明記されています。
つまり、以下のような方でも利用できます。
- 会社を退職して健康保険の資格を失った方
- 国民健康保険の手続きをしていない方
- 保険料を滞納して保険証を持っていない方
- 外国籍で健康保険に加入していない方
無保険の状態で通常の病院を受診すると、医療費は全額自己負担(10割負担)となり、非常に高額になってしまいます。しかし、無料低額診療を実施している医療機関であれば、収入状況によって無料〜低額で診療を受けることができます。
「保険証がないから病院に行けない」と諦めている方は、ぜひ最寄りの無料低額診療実施医療機関に相談してみてください。
保険料滞納中でも受診できる方法
国民健康保険料を滞納している場合、保険証が「短期被保険者証」や「資格証明書」に切り替わっている方もいるかもしれません。しかし、滞納中であっても、医療を受けられないわけではありません。
短期被保険者証の場合
保険料の滞納が続くと、通常の保険証の代わりに「短期被保険者証」が交付される場合があります。短期被保険者証でも、通常の保険証と同様に3割負担で医療を受けることができます。ただし、有効期間が1〜6カ月程度と短いため、期限が切れる前に更新の手続きが必要です。
資格証明書の場合
滞納が長期間(おおむね1年以上)続くと、「資格証明書」が交付される場合があります。資格証明書で受診すると、いったん医療費の全額(10割)を窓口で支払い、後から申請して7割分の払い戻しを受ける形になります。
滞納中でも医療費を軽減できる可能性
国民健康保険法では、特別な事情(災害、失業、病気など)により保険料の支払いが困難な場合、一部負担金の減免や徴収猶予を受けられる場合があることを定めています。
市区町村の国民健康保険課に相談することで、以下のような対応を受けられる可能性があります。
- 医療費の一部負担金の減免
- 保険料の分割納付
- 保険料の減額・免除
- 短期被保険者証から通常の保険証への切り替え
まずは市区町村の窓口に相談してみてください。滞納している状況を正直に伝え、今後の支払い計画について相談することで、解決策が見つかることがあります。
生活保護の「医療扶助」を申請する
生活保護を受給すると、「医療扶助」として医療費が全額公費で負担されます。つまり、生活保護を受給している間は、医療費の自己負担がゼロになります。
生活保護は、収入や資産が国の定める基準を下回り、他に利用できる制度がない場合に受給できる制度です。「生活保護」というと抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、これは日本国憲法第25条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利に基づく制度です。
生活保護の申請先は、お住まいの地域を管轄する福祉事務所です。
申請の流れは以下の通りです。
- 福祉事務所の窓口で相談・申請を行う
- ケースワーカーによる家庭訪問・調査を受ける
- 審査(原則14日以内、最長30日)
- 保護の決定・開始
申請に必要な書類は、本人確認書類、収入を証明する書類、資産を証明する書類などですが、書類がすべて揃っていなくても申請することはできます。「申請してから書類を揃える」という形でも問題ありません。
なお、生活保護の医療扶助を利用する場合は、「生活保護法指定医療機関」での受診が必要です。多くの病院は指定を受けていますが、事前に確認しておくと安心です。
緊急の場合は申請前でも医療を受けられます
生活保護の医療扶助は「原則として被保護者の申請により開始」しますが、「急迫した状況にあるときは、申請がなくても必要な保護を行う」とされています。つまり、緊急に医療が必要な場合は、生活保護の申請前であっても、福祉事務所を通じて医療扶助を受けられる可能性があります。
急な病気やケガで、すぐに生活保護の申請手続きができない場合は、まず福祉事務所に電話で相談してみてください。
今すぐ保険証を取り戻すための相談先
保険証がない状態を解消するためには、以下の窓口に相談することをおすすめします。
会社を退職した方
- 前の会社の健康保険の「任意継続」を申請する(退職後20日以内)
- 市区町村の窓口で国民健康保険に加入する(退職後14日以内が原則だが、遅れても加入可能)
- ご家族の健康保険の扶養に入る
国民健康保険に加入していない方・滞納中の方
- お住まいの市区町村の国民健康保険課に相談
- 保険料の分割納付や減免について相談
外国籍の方
- 3カ月以上日本に住所がある場合は、市区町村で国民健康保険に加入できます
- お住まいの市区町村の窓口に相談してください
保険証がない期間が長くなると、その間の保険料を遡って支払わなければならない場合があります。経済的に困難な場合は、減免制度を利用できる可能性もありますので、早めに窓口に相談することをおすすめします。
入院費・手術費が払えない時の対処法
入院や手術となると、医療費が数十万円〜数百万円になることもあります。「こんな高額は払えない」と不安になるかもしれませんが、対処法はあります。
ここでは、高額な医療費に対応するための方法を解説していきます。
病院に分割払い・支払い猶予を相談する
多くの病院では、高額な医療費をすぐに支払えない患者さんに対して、分割払いや支払い猶予に応じてくれます。
相談する際のポイントは以下の通りです。
できるだけ早く相談する
入院や手術が決まった時点で、早めに病院の「医事課」や「患者相談窓口」に相談しましょう。退院間際や会計時に相談するよりも、事前に相談しておいた方が、病院側も対応しやすくなります。
具体的な支払い計画を提案する
「毎月〇万円ずつ支払います」「ボーナス月には多めに支払います」など、具体的な支払い計画を提案すると、病院側も検討しやすくなります。
利用できる制度について相談する
病院の相談窓口では、高額療養費制度や限度額適用認定証など、利用できる公的制度について案内してもらえます。これらの制度を活用することで、実際に支払う金額を大幅に抑えられる可能性があります。
なお、病院によっては、支払いの遅延に対して延滞金が発生したり、長期間支払いがない場合は法的措置を取られたりすることもあります。支払いが難しい場合でも、連絡なしに放置することは避け、必ず病院に相談するようにしてください。
高額療養費貸付制度を利用する
全国健康保険協会(協会けんぽ)では、高額な医療費を支払った方が、高額療養費の支給を受けるまでの間、その費用を**無利子で借りられる「高額療養費貸付制度」**を設けています。
高額療養費は、申請してから支給されるまで通常2〜3カ月程度かかります。その間、高額な医療費を立て替えるのが難しい場合に、この貸付制度を利用することで、支給予定額の8割程度を先に借りることができます。
貸付を受けるための条件は以下の通りです。
- 高額療養費の支給が見込まれること
- 貸付金の返済(高額療養費からの相殺)に同意すること
申請先は、加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合など)です。限度額適用認定証を事前に取得していれば、窓口での支払いを抑えられるため、貸付制度を利用する必要がなくなる場合もあります。
生命保険の給付金・契約者貸付を活用する
民間の生命保険や医療保険に加入している方は、入院や手術に対して給付金を受け取れる場合があります。加入している保険の内容を確認し、該当する場合は保険会社に請求しましょう。
また、解約返戻金のある生命保険に加入している場合は、契約者貸付制度を利用できる場合があります。これは、解約返戻金の一定範囲内でお金を借りられる制度です。
契約者貸付制度のメリットは以下の通りです。
- 審査なしで借りられる
- 保険を解約せずにお金を用意できる
- 金利が比較的低い(年2〜6%程度)
ただし、借りたお金には利息がかかり、返済しないと保険が失効してしまう可能性もありますので、計画的に利用することが大切です。
加入している保険の内容がわからない場合は、保険証券を確認するか、保険会社のコールセンターに問い合わせてみてください。
お金がない時に相談できる窓口一覧
「どこに相談したらいいかわからない」という方のために、医療費の問題について相談できる窓口をまとめました。いずれも無料で相談できますので、一人で悩まず、まずは連絡してみてください。
病院の医療相談室(医療ソーシャルワーカー)
医療ソーシャルワーカー(MSW)は、病気やケガに伴う経済的・心理的・社会的な問題について相談に応じる専門職です。
多くの病院には「医療相談室」「地域医療連携室」「患者相談室」などの名称で相談窓口が設けられています。総合受付で「医療費について相談したい」と伝えれば、案内してもらえます。
医療ソーシャルワーカーに相談できることの例:
- 医療費の支払いに関する相談
- 利用できる公的制度の案内
- 各種制度の申請手続きのサポート
- 退院後の生活支援
- 療養中の不安や悩みの相談
相談は無料で、予約なしで対応してくれる病院も多いです。まずは通院先や入院先の病院で相談してみてください。
市区町村の福祉課・国民健康保険課
お住まいの市区町村の役所には、さまざまな相談窓口があります。
医療費に関する相談は、主に以下の窓口で対応しています。
国民健康保険課
- 国民健康保険の加入・脱退手続き
- 保険料の減免・分割納付の相談
- 一部負担金減免制度の申請
- 高額療養費・限度額適用認定証の申請(国保加入者の場合)
障害福祉課
- 自立支援医療制度(精神通院医療)の申請
- 障害者手帳の申請
- 障害福祉サービスの相談
福祉課・生活支援課
- 生活保護の相談・申請
- 生活困窮者自立支援制度の相談
窓口の名称は自治体によって異なります。どこに相談すればいいかわからない場合は、役所の総合案内で「医療費の支払いについて相談したい」と伝えれば、適切な窓口を案内してもらえます。
社会福祉協議会(生活福祉資金貸付)
全国社会福祉協議会では、低所得者や高齢者、障害者などを対象とした「生活福祉資金貸付制度」を実施しています。
この制度では、以下のような資金を低金利または無利子で借りることができます。
- 緊急小口資金:緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった場合(上限10万円)
- 総合支援資金:生活再建に必要な費用(生活支援費、住宅入居費など)
- 福祉資金:療養費や介護等にかかる費用
申請先は、お住まいの地域の社会福祉協議会です。相談は無料で、利用できる制度の案内も受けられます。
よりそいホットライン(24時間無料相談)
一般社団法人社会的包摂サポートセンターが運営する「よりそいホットライン」は、24時間対応の無料電話相談窓口です。
電話番号:0120-279-338(24時間対応・通話無料)
生活の困りごと全般について相談でき、必要に応じて適切な支援機関につないでもらえます。「どこに相談していいかわからない」「とにかく誰かに話を聞いてほしい」という方は、まずこちらに電話してみてください。
外国語での相談にも対応しており、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、ベトナム語、ネパール語での相談も可能です。
よくある質問
Q1. 完全に無料で診察を受けられる制度はある?
A: はい、あります。
無料低額診療制度を利用すれば、収入状況によっては医療費が完全に無料になる場合があります。また、生活保護を受給している方は、医療扶助により医療費の自己負担がゼロになります。
無料低額診療制度の場合、一般的に収入が生活保護基準の120%以下であれば全額免除の対象となることが多いです。ただし、具体的な基準は医療機関によって異なりますので、窓口で確認してみてください。
Q2. 健康保険証がなくても病院に行ける?
A: はい、行けます。
健康保険証がなくても、以下の方法で病院を受診できます。
- 無料低額診療制度を利用する:保険証の有無にかかわらず利用できます
- 10割負担で受診する:通常の病院でも、全額自己負担で受診は可能です
- 生活保護の医療扶助を利用する:生活保護を受給すれば、医療券で受診できます
お金がない状態で10割負担は現実的ではありませんので、まずは無料低額診療を実施している医療機関に相談することをおすすめします。
Q3. 医療費を払わないとどうなる?
A: 最終的には法的措置を取られる可能性があります。
医療費の支払いを放置すると、以下のような流れで対応が進むことがあります。
- 病院から電話や文書での督促
- 分割払いなどの相談の呼びかけ
- 保証人への連絡
- 債権回収会社への委託
- 法的措置(支払督促、少額訴訟など)
ただし、多くの病院では、すぐに法的措置を取るわけではありません。支払いが難しい事情を正直に伝え、分割払いなどの相談をすれば、柔軟に対応してもらえることが多いです。
大切なのは、連絡なしに放置しないことです。支払いが難しくても、必ず病院に相談しましょう。
Q4. 借金があっても公的制度は利用できる?
A: はい、利用できます。
高額療養費制度、限度額適用認定証、無料低額診療制度、自立支援医療制度などは、借金の有無にかかわらず利用できます。生活保護についても、借金があるからといって申請できないわけではありません。
ただし、借金の返済で生活が苦しくなっている場合は、医療費だけでなく、借金問題そのものを解決することも大切です。
以下の窓口では、借金問題についても相談できます。
- 法テラス(日本司法支援センター):0570-078374
- 多重債務相談窓口(各自治体の消費生活センターなど)
- 弁護士・司法書士への相談
Q5. 精神科・心療内科でも無料低額診療は使える?
A: 使える場合があります。
無料低額診療制度を実施している医療機関であれば、精神科や心療内科でも利用できます。ただし、すべての医療機関で実施しているわけではありませんので、事前に確認が必要です。
また、精神科への継続的な通院が必要な場合は、**自立支援医療制度(精神通院医療)**を利用することで、医療費の自己負担を3割から1割に軽減できます。こちらは無料低額診療よりも利用しやすい制度ですので、ぜひ検討してみてください。
自立支援医療制度の申請先は、お住まいの市区町村の障害福祉課です。
主治医に相談すれば、申請に必要な診断書を書いてもらえます。
まとめ:お金がなくても病院に行く方法はある
この記事では、「病院行きたいけどお金ない」という悩みに対する具体的な対処法をご紹介してきました。
最後に、状況別のおすすめ対処法と、大切なポイントをまとめます。
状況別おすすめ対処法
今日すぐ病院に行きたい方
→ 無料低額診療制度を実施している医療機関に行く、または病院の窓口で後払い・分割払いを相談する
- 無料低額診療は保険証なしでも即日利用可能
- 病院の医療ソーシャルワーカーに相談すれば、適切な制度を案内してもらえる
数日待てる方・高額な医療費がかかりそうな方
→ 限度額適用認定証を取得する、高額療養費制度を活用する
- 限度額適用認定証があれば、窓口での支払いを自己負担限度額に抑えられる
- 入院や手術の前に取得しておくことをおすすめ
長期的な通院が必要な方
→ 自立支援医療制度(精神科の場合)、生活保護の医療扶助を検討する
- 自立支援医療なら精神科の医療費が1割負担に
- 生活保護を受給すれば医療費は完全無料
大切な3つのポイント
ポイント①:お金がなくても病院に行く方法は必ずある
日本には、経済的に困っている方でも医療を受けられるよう、さまざまな公的制度が整備されています。「お金がないから病院に行けない」と諦める前に、まずは相談してみてください。
ポイント②:一人で悩まず、早めに相談する
医療費の問題は、一人で抱え込まず、専門家に相談することが大切です。病院の医療ソーシャルワーカー、市区町村の窓口、社会福祉協議会など、相談できる場所はたくさんあります。早めに相談することで、解決策が見つかりやすくなります。
ポイント③:治療を先延ばしにしない
お金の心配で治療を先延ばしにすると、症状が悪化して、結果的にさらに高額な医療費がかかってしまうことがあります。また、健康を損なうことで、仕事や生活にも影響が出てしまいます。利用できる制度を活用して、必要な治療は早めに受けるようにしましょう。
あなたの健康は、何よりも大切なものです。
お金の問題で必要な医療を諦めることがないよう、この記事でご紹介した制度や相談窓口を、ぜひ活用してください。

