「商工会からお金を借りられるって聞いたけど、具体的にどうすればいいの?」「銀行の融資は審査が厳しそうで不安…」
このような悩みを抱えている中小企業経営者や個人事業主の方は多いのではないでしょうか。結論からお伝えすると、商工会や商工会議所を通じて融資の推薦を受ければ、無担保・無保証人・低金利で最大2,000万円まで借りることが可能です。
本記事では、以下の情報を詳しく解説していきます。
- 商工会からお金を借りる具体的な3つの方法と比較
- 最も人気の「マル経融資」の条件・金利・必要書類
- 融資を受けるまでの具体的な5ステップ
- 審査に通るためのコツと、審査落ち時の対処法
商工会からお金を借りる3つの方法を比較
商工会や商工会議所を通じてお金を借りる方法は、主に3つあります。それぞれ特徴が異なりますので、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選んでいただきたいと思います。
まず、最も代表的な融資制度である「マル経融資」は、日本政策金融公庫が提供する国の融資制度です。商工会や商工会議所の推薦を受けることで、無担保・無保証人という非常に有利な条件で借り入れができます。金利も年2.0%前後と低く抑えられており、中小企業や個人事業主にとって最も魅力的な選択肢といえるでしょう。
次に「メンバーズビジネスローン」は、商工会議所と民間金融機関が提携して提供している融資制度です。商工会議所の会員であれば、通常よりも優遇された金利で融資を受けることができます。マル経融資と比較すると審査がスピーディーな点がメリットですが、金利は民間金融機関の水準となります。
3つ目の「創業支援融資保証制度」は、商工会議所と信用保証協会が連携して提供している制度です。創業から5年未満の事業者が対象で、最大2,500万円まで原則無担保で借りられます。事業計画書の作成から起業後のフォローアップまで、商工会議所がサポートしてくれる点が特徴です。
| 融資制度 | 融資元 | 融資限度額 | 金利(目安) | 担保・保証人 | 主な対象者 |
|---|---|---|---|---|---|
| マル経融資 | 日本政策金融公庫 | 2,000万円 | 年2.0%前後 | 不要 | 経営指導を6ヶ月以上受けた小規模事業者 |
| メンバーズビジネスローン | 民間金融機関 | 金融機関による | 金融機関による | 金融機関による | 商工会議所会員 |
| 創業支援融資保証制度 | 民間金融機関 | 2,500万円 | 金融機関による | 原則不要 | 創業5年未満の事業者 |
状況別のおすすめは以下の通りです。
- 低金利で借りたい方 → マル経融資がおすすめ(ただし6ヶ月以上の準備期間が必要)
- すぐに資金が必要な方 → メンバーズビジネスローンを検討
- 創業間もない方 → 創業支援融資保証制度を活用
なお、商工会や商工会議所は直接お金を貸してくれる機関ではありません。あくまでも融資の「推薦」や「斡旋」を行う窓口としての役割を担っています。この点を理解しておくことで、スムーズに手続きを進められるでしょう。
商工会の融資で最も人気の「マル経融資」とは
商工会や商工会議所を通じた融資の中で、最も利用されているのが「マル経融資」です。正式名称は「小規模事業者経営改善資金融資制度」といい、1973年に創設された歴史ある制度です。ここでは、マル経融資の詳しい内容についてご説明していきます。
マル経融資の概要(金利・限度額・返済期間)
マル経融資は商工会・商工会議所の経営指導を受けている小規模事業者が、無担保・無保証人で利用できる国の融資制度です。融資の窓口は商工会や商工会議所ですが、実際に資金を貸し付けるのは日本政策金融公庫となります。
融資限度額は最大2,000万円で、運転資金と設備資金の両方に利用できます。運転資金とは、仕入れ代金や人件費、家賃などの日常的な経費を指し、設備資金とは機械の購入や店舗の改装などに使う資金を指します。
返済期間は、運転資金の場合は7年以内(据置期間1年以内)、設備資金の場合は**10年以内(据置期間2年以内)**となっています。据置期間とは、元金の返済を猶予してもらい、利息のみを支払う期間のことです。事業が軌道に乗るまでの期間を考慮して設定されているため、返済計画が立てやすいのではないでしょうか。
金利については、2025年の最新情報では年1.7%〜2.0%前後で推移しています。金融情勢によって変動しますが、民間の金融機関と比較すると非常に低い水準に設定されています。さらに、自治体によっては利子補給制度を設けているところもあり、実質的な金利負担をさらに軽減できる場合もあります。
マル経融資の5つのメリット(無担保・無保証・低金利など)
全国商工会連合会では、マル経融資を「小規模事業者にとって非常に有利な融資制度」と位置づけています。具体的なメリットを5つご紹介していきましょう。
1つ目のメリットは「無担保・無保証人」という点です。 一般的な銀行融資では、担保や保証人を求められることが多いですが、マル経融資ではこれらが一切不要です。経営者個人の資産を担保に入れる必要がないため、万が一事業がうまくいかなかった場合でも、個人の財産が差し押さえられるリスクがありません。
2つ目のメリットは「低金利」です。 前述の通り、年2.0%前後という低い金利で借り入れができます。例えば、500万円を5年間で返済する場合、金利が2.0%であれば総支払利息は約26万円程度ですが、一般的なビジネスローン(金利10%程度)では約130万円以上になることもあります。この差は非常に大きいですよね。
3つ目のメリットは「長期返済が可能」という点です。 最長10年という返済期間が設定されているため、月々の返済負担を抑えることができます。資金繰りに余裕を持たせながら、計画的に返済を進められるでしょう。
4つ目のメリットは「経営指導を受けられる」ことです。 マル経融資を利用するためには、商工会や商工会議所で6ヶ月以上の経営指導を受ける必要があります。一見するとデメリットのように感じるかもしれませんが、専門家から無料で経営アドバイスを受けられるのは大きなメリットです。経営課題の解決や事業計画のブラッシュアップに役立てていただけます。
5つ目のメリットは「追加融資がスムーズ」という点です。 一度マル経融資を受けて実績を作ると、2回目以降の融資がスムーズに進むことが多いです。借入残高と合わせて2,000万円以内であれば、重複して融資を受けることも可能です。
マル経融資のデメリットと注意点
マル経融資には多くのメリットがありますが、中小企業庁の情報を踏まえると、いくつかの注意点も把握しておく必要があります。
最大のデメリットは「融資実行までに時間がかかる」点です。 マル経融資を利用するためには、原則として6ヶ月以上の経営指導を受ける必要があります。さらに、商工会や商工会議所での審査会、日本政策金融公庫での審査を経て融資が実行されるため、申し込みから入金までに1〜2ヶ月程度かかることが一般的です。つまり、「今すぐ資金が必要」という緊急性の高いケースには向いていません。
2つ目の注意点は「対象者が限定されている」ことです。 従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者でなければ利用できません。また、創業して1年未満の事業者は原則として対象外となります。
3つ目の注意点は「資金使途が限られている」ことです。 マル経融資は運転資金と設備資金にのみ利用できます。借入金の返済資金(いわゆる借り換え)や生活費などには使用できませんので、ご注意ください。
4つ目の注意点は「審査がある」という点です。 無担保・無保証とはいえ、審査に通らなければ融資を受けることはできません。商工会や商工会議所での審査会と、日本政策金融公庫での審査の両方をクリアする必要があります。赤字決算が続いている場合や、税金の滞納がある場合は審査に通りにくくなります。
これらのデメリットを踏まえた上で、計画的に準備を進めることが大切です。資金が必要になる6ヶ月以上前から商工会や商工会議所に相談しておくと、スムーズに融資を受けられるでしょう。
マル経融資を受けるための6つの条件
マル経融資を利用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。すべての条件をクリアしていないと融資を受けることができませんので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
条件①:従業員20人以下の小規模事業者であること
マル経融資の対象となる「小規模事業者」とは、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業の場合は5人以下)の法人または個人事業主を指します。
ここでいう「常時使用する従業員」には、パートやアルバイトのうち、所定労働時間や所定労働日数が正社員の4分の3未満の方は含まれません。また、会社の役員や事業主本人、家族従業員(事業主と生計を一にする親族)も従業員数にカウントしません。
なお、「商業・サービス業」とは、卸売業、小売業、飲食店、宿泊業、理美容業、クリーニング業などを指します。ただし、宿泊業と娯楽業は製造業その他と同じく20人以下が基準となりますので、ご注意ください。
従業員数の判定は融資の申し込み時点で行われますので、条件を満たしているかどうか事前に確認しておくことをおすすめします。
条件②:商工会・商工会議所の経営指導を6ヶ月以上受けていること
日本商工会議所では、マル経融資の推薦要件として「原則6ヶ月以上の経営指導を受けていること」を挙げています。
経営指導とは、商工会や商工会議所に配置されている「経営指導員」から、経営全般についてのアドバイスを受けることです。具体的には、帳簿の付け方、確定申告の準備、資金繰りの改善、販路開拓の方法など、様々な経営課題について相談に乗ってもらえます。
経営指導を受けるためには、まず商工会や商工会議所に会員として加入する必要があります。入会金や年会費は各地域によって異なりますが、年会費は数千円〜数万円程度が一般的です。経営指導自体は無料で受けられますので、会費を払うだけの価値は十分にあるといえるでしょう。
なお、「6ヶ月以上」という期間は厳密に運用されています。5ヶ月や5ヶ月半では認められませんので、融資を検討している方は早めに商工会や商工会議所に相談されることをおすすめします。
条件③:1年以上同一地区で事業を営んでいること
マル経融資を利用するためには、同一の商工会または商工会議所の地区内で直近1年以上事業を営んでいる必要があります。
この条件は、商工会や商工会議所が事業者の経営状況をしっかりと把握し、適切な推薦を行うために設けられています。創業して間もない事業者や、最近引っ越してきたばかりの事業者は、この条件を満たしていない可能性がありますので注意が必要です。
ただし、創業して1年未満であっても、商工会や商工会議所で経営指導を受けながら事業を軌道に乗せていくことは可能です。1年経過した時点でマル経融資を申し込めるよう、早めに相談を始めておくとよいでしょう。
また、事業所の移転などで商工会・商工会議所の地区が変わった場合は、新しい地区での事業実績が1年以上必要となります。移転を予定している方は、融資のタイミングと調整することをおすすめします。
条件④:税金を完納していること
国税庁をはじめとする各税務当局への納税義務を果たしていることも、マル経融資の重要な条件の一つです。具体的には、所得税(法人税)、事業税、住民税などを完納している必要があります。
税金の滞納がある場合、原則としてマル経融資を受けることはできません。これは、税金を滞納している事業者に対して国の制度で融資を行うことは適切ではないという考え方に基づいています。
もし現在税金を滞納している場合は、まず滞納分を完納することから始めましょう。分割納付の相談なども税務署で受け付けていますので、支払いが難しい場合は早めに相談されることをおすすめします。
なお、融資の申し込み時には、納税証明書の提出を求められます。法人の場合は法人税の納税証明書、個人事業主の場合は所得税の納税証明書を準備しておきましょう。
条件⑤:日本政策金融公庫の非対象業種でないこと
日本政策金融公庫では、一部の業種をマル経融資の対象外としています。具体的には、以下のような業種が非対象となっています。
- 金融業(銀行、保険、証券など)
- 投機的事業(株式投資、不動産投機など)
- 一部の風俗営業(パチンコ、麻雀など)
- 農林漁業(別の融資制度があるため)
また、反社会的勢力に関係している事業者や、公序良俗に反する事業を営んでいる事業者も対象外となります。
ほとんどの一般的な事業は対象となりますが、自分の事業が対象かどうか不安な場合は、事前に商工会や商工会議所に確認しておくと安心です。
商工会からお金を借りるまでの具体的な5ステップ
ここからは、実際に商工会や商工会議所を通じてマル経融資を受けるまでの具体的な流れをご説明します。計画的に準備を進めることで、スムーズに融資を受けられるでしょう。
ステップ①:最寄りの商工会・商工会議所に相談・加入する
まず最初に行うべきことは、事業所の所在地を管轄する商工会または商工会議所に相談に行くことです。全国商工会連合会のウェブサイトや日本商工会議所のウェブサイトから、最寄りの商工会・商工会議所を検索することができます。
商工会は主に町村部に設置されており、商工会議所は主に市区部に設置されています。どちらも中小企業や個人事業主を支援する団体ですが、対象エリアが異なりますので、ご自身の事業所がある地域に合わせて選んでください。
初回の相談は無料で受け付けている場合がほとんどです。事前に電話で予約を入れてから訪問すると、スムーズに相談できるでしょう。相談の際には、現在の事業内容、資金が必要な理由、希望する融資額などを伝えてください。
相談の結果、マル経融資が適していると判断された場合は、商工会または商工会議所への入会手続きを行います。入会金や年会費は地域によって異なりますが、一般的には年会費が6,000円〜30,000円程度です。法人と個人事業主で金額が異なる場合もあります。
入会後は、担当の経営指導員が決まり、定期的な経営指導がスタートします。
ステップ②:経営指導員による経営指導を受ける(原則6ヶ月)
日本商工会議所によると、マル経融資の推薦を受けるためには、原則として6ヶ月以上の経営指導を受ける必要があります。
経営指導は、商工会・商工会議所に配置されている「経営指導員」が担当します。経営指導員は、中小企業診断士などの資格を持つ専門家で、経営全般についてのアドバイスを提供してくれます。
経営指導の内容は多岐にわたりますが、主に以下のようなサポートを受けることができます。
- 記帳指導:帳簿の付け方、経理処理の方法
- 税務相談:確定申告の準備、節税対策
- 資金繰り相談:キャッシュフローの改善、資金計画の立て方
- 経営計画策定:事業計画書の作成支援
- 販路開拓支援:新規顧客の獲得方法、マーケティング戦略
経営指導は月に1〜2回程度のペースで行われることが多いです。窓口での相談のほか、経営指導員が事業所を訪問してくれる「巡回指導」も利用できます。
この6ヶ月間は単なる「待ち時間」ではありません。経営指導を通じて事業の課題を洗い出し、改善に取り組むことで、融資の審査にも良い影響を与えます。経営指導員との信頼関係を築いておくことが、融資成功の鍵となるでしょう。
ステップ③:必要書類を準備して融資を申し込む
6ヶ月以上の経営指導を受けた後、いよいよ融資の申し込みに進みます。日本政策金融公庫への融資申し込みは、商工会・商工会議所を通じて行います。
申し込みの際には、様々な書類を準備する必要があります。必要書類の詳細は後述しますが、主なものとしては以下が挙げられます。
- 借入申込書
- 事業計画書(資金使途や返済計画を記載)
- 決算書または確定申告書(直近2〜3期分)
- 納税証明書
- 本人確認書類
- 商業登記簿謄本(法人の場合)
書類の準備には時間がかかる場合がありますので、早めに取り掛かることをおすすめします。特に、納税証明書は税務署で取得する必要があり、即日発行されないこともあります。
経営指導員に相談しながら書類を準備すると、漏れや不備を防ぐことができます。不明な点があれば遠慮なく質問してください。
ステップ④:商工会の審査会で推薦を受ける
必要書類が揃ったら、商工会・商工会議所内で開催される「審査会」(推薦委員会)に諮られます。東京商工会議所をはじめ、各地の商工会議所では定期的に審査会を開催しています。
審査会では、経営指導員が申込者の事業内容や資金使途、返済能力などを説明し、商工会・商工会議所として日本政策金融公庫への推薦を行うかどうかを審議します。
審査のポイントは主に以下の点です。
- 融資条件(小規模事業者であること、経営指導を受けていることなど)を満たしているか
- 資金使途が明確で、事業の発展に資するものか
- 返済能力があるか(売上や利益の見込み)
- 税金を完納しているか
- 事業計画の妥当性
審査会で推薦が認められると、「推薦書」が発行されます。この推薦書を添えて、日本政策金融公庫に融資を申し込むことになります。
なお、審査会は月に1〜2回程度の頻度で開催されることが多いです。審査会の開催日程によっては、申し込みから推薦を受けるまでに2〜3週間程度かかる場合があります。
ステップ⑤:日本政策金融公庫の審査を経て融資実行
商工会・商工会議所から推薦を受けた後、日本政策金融公庫での審査が行われます。推薦書と必要書類を日本政策金融公庫に提出し、担当者による面談を受けます。
日本政策金融公庫の審査では、事業計画の妥当性、返済能力、信用情報などが総合的に判断されます。商工会・商工会議所からの推薦を受けているからといって、必ず融資が実行されるわけではありませんが、推薦があることで審査が有利に進む傾向があります。
面談では、事業の内容や将来の見通し、資金の使い道などについて質問されます。自分の事業について自信を持って説明できるよう、事前に準備しておきましょう。
審査に通過すると、融資条件(融資額、金利、返済期間など)が決定され、契約手続きに進みます。契約書に署名・捺印をすると、指定した銀行口座に融資金が振り込まれます。
申し込みから融資実行までの期間は、通常3〜4週間程度です。ただし、書類の不備があったり、審査に時間がかかったりする場合は、さらに時間がかかることもあります。資金が必要な時期から逆算して、余裕を持ったスケジュールで準備を進めてください。
マル経融資の必要書類一覧【法人・個人事業主別】
マル経融資を申し込む際には、様々な書類を準備する必要があります。法人と個人事業主では必要書類が一部異なりますので、それぞれについて詳しくご説明します。
法人の場合の必要書類
法人がマル経融資を申し込む際に必要な書類は以下の通りです。法務省が管轄する登記事項証明書をはじめ、複数の書類を準備する必要があります。
1. 借入申込書
日本政策金融公庫所定の書式を使用します。商工会・商工会議所で入手できます。
2. 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
法務局で取得できます。発行から3ヶ月以内のものが必要です。オンラインでの請求も可能で、手数料は480円〜600円程度です。
3. 決算書(直近2〜3期分)
貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳書などの決算関連書類を準備します。税理士に作成を依頼している場合は、税理士から入手してください。
4. 法人税の納税証明書
税務署で取得できます。「その3の3」という証明書が必要です。これは、未納の法人税がないことを証明するものです。
5. 事業税・住民税の納税証明書
都道府県税事務所(事業税)と市区町村役場(住民税)で取得します。
6. 代表者の本人確認書類
運転免許証やマイナンバーカードなど、写真付きの身分証明書のコピーを準備します。
7. 事業計画書
資金の使い道、返済計画、今後の事業展開などを記載した計画書です。商工会・商工会議所の経営指導員と相談しながら作成するとよいでしょう。
8. 見積書や契約書(設備資金の場合)
設備投資のためにお金を借りる場合は、購入する設備の見積書や契約書が必要です。
個人事業主の場合の必要書類
個人事業主がマル経融資を申し込む際に必要な書類は以下の通りです。国税庁に提出している確定申告書が重要な書類となります。
1. 借入申込書
法人の場合と同様、日本政策金融公庫所定の書式を使用します。
2. 確定申告書(直近2〜3期分)
確定申告書の控え(税務署の収受印があるもの)と、青色申告決算書または収支内訳書を準備します。電子申告(e-Tax)の場合は、受信通知も一緒に提出してください。
3. 所得税の納税証明書
税務署で取得できます。「その3の2」という証明書が必要です。
4. 事業税・住民税の納税証明書
都道府県税事務所(事業税)と市区町村役場(住民税)で取得します。個人事業主で事業税が課税されていない場合は、その旨を伝えてください。
5. 本人確認書類
運転免許証やマイナンバーカードなど、写真付きの身分証明書のコピーを準備します。
6. 事業計画書
資金の使い道と返済計画を記載します。経営指導員のサポートを受けながら作成しましょう。
7. 見積書や契約書(設備資金の場合)
法人の場合と同様、設備投資の際に必要です。
事業計画書の書き方のポイント
事業計画書は、マル経融資の審査において非常に重要な書類です。中小企業庁では、事業計画書の作成をサポートするための各種ツールを提供しています。
事業計画書を作成する際のポイントを5つご紹介します。
1. 資金使途を具体的に記載する
「運転資金」「設備資金」といった大まかな記載ではなく、具体的に何にいくら使うのかを明記します。例えば、「仕入れ代金300万円、人件費200万円」のように詳細に記載しましょう。
2. 返済計画の根拠を示す
「毎月○万円を返済する」だけでなく、その原資となる売上や利益の見込みを示します。過去の実績データを基に、現実的な数字を記載することが大切です。
3. 融資を受けることで事業がどう改善するかを説明する
単にお金が必要だから借りたいのではなく、融資を受けることで売上が向上する、コストが削減できるなど、事業改善につながることを説明します。
4. リスクと対策も記載する
事業には必ずリスクが伴います。想定されるリスクと、その対策についても記載しておくと、審査担当者に好印象を与えます。
5. 経営指導員のアドバイスを反映する
6ヶ月以上の経営指導を通じて得たアドバイスを計画に反映させましょう。経営指導員と一緒に計画書を作成すれば、より説得力のある内容になります。
マル経融資の審査に通るための4つのコツ
マル経融資は無担保・無保証とはいえ、審査があります。審査に通るためのコツを4つご紹介しますので、融資成功に向けて参考にしてください。
コツ①:経営指導員との関係を密にする
全国商工会連合会が推進する経営指導員制度を最大限に活用することが、融資成功の第一歩です。
経営指導員は、マル経融資の推薦を行う商工会・商工会議所の担当者です。審査会では経営指導員があなたの事業について説明してくれますので、日頃から良好な関係を築いておくことが大切です。
具体的には、以下のような点を心がけてください。
- 定期的に経営相談に訪れる(月1回程度が目安)
- 経営指導員からのアドバイスを真摯に受け止め、実行する
- 事業の進捗状況や課題を正直に報告する
- セミナーや勉強会など、商工会・商工会議所のイベントに積極的に参加する
経営指導員との信頼関係が築けていれば、審査会での推薦も力強いものになります。逆に、6ヶ月間ほとんど連絡を取らず、融資の申し込み時だけ顔を出すようでは、良い結果は期待できないでしょう。
コツ②:資金使途を明確にした事業計画書を作成する
「なんとなくお金が必要」ではなく、具体的に何にいくら使うのかを明確にしましょう。
資金使途を明確にするためのポイントは以下の通りです。
- 運転資金の場合:仕入れ代金、人件費、家賃、広告宣伝費など、項目別に金額を積み上げて算出する
- 設備資金の場合:見積書を取得し、具体的な金額を示す
また、融資を受けることでどのような効果が期待できるかも明記しましょう。例えば、「新規設備の導入により生産効率が20%向上し、年間売上が300万円増加する見込み」といった形で、数字を使って説明すると説得力が増します。
事業計画書の作成に不安がある場合は、経営指導員に相談しながら作成することをおすすめします。
コツ③:他社借入を整理しておく
CIC(シー・アイ・シー)などの信用情報機関に登録されている情報も、審査の際に確認されます。他社からの借入が多い場合は、審査に不利に働く可能性があります。
融資を申し込む前に、以下の点を確認・整理しておくことをおすすめします。
- 現在の借入状況(借入先、残高、返済額)を把握する
- 可能であれば、一部の借入を完済しておく
- クレジットカードのキャッシング枠や消費者金融からの借入がある場合は、特に注意が必要
なお、マル経融資は「借り換え」には利用できません。既存の借入を返済するために新たにマル経融資を借りることはできませんので、ご注意ください。
また、過去に返済の延滞があった場合は、信用情報に記録が残っている可能性があります。不安な場合は、CICやJICC(日本信用情報機構)に情報開示を請求して、自分の信用情報を確認しておくとよいでしょう。
コツ④:面談での印象を良くする
日本商工会議所の推薦を受けた後、日本政策金融公庫での面談が行われます。この面談での印象も、審査結果に影響を与えます。
面談で好印象を与えるためのポイントは以下の通りです。
1. 身だしなみを整える
スーツである必要はありませんが、清潔感のある服装で臨みましょう。
2. 事業について自信を持って説明する
自分の事業の強みや将来性について、熱意を持って説明してください。ただし、根拠のない楽観的な話ばかりではなく、課題やリスクについても正直に話すことが大切です。
3. 質問には正直に答える
わからないことを聞かれた場合は、正直に「わかりません」と答えましょう。嘘をついたり、ごまかしたりすると、かえって印象が悪くなります。
4. 必要書類を漏れなく準備する
書類の不備があると、それだけで印象が悪くなります。面談の前に、必要書類がすべて揃っているか確認してください。
5. 時間に余裕を持って行動する
面談の時間に遅刻することは絶対に避けてください。10分前には到着するようにしましょう。
マル経融資の審査に落ちた場合の4つの対処法
残念ながら、マル経融資の審査に通らないこともあります。しかし、審査に落ちたからといって諦める必要はありません。他にも資金調達の方法はありますので、状況に応じて検討してみてください。
対処法①:審査落ちの理由を確認して改善する
審査に落ちた場合、まず日本政策金融公庫や商工会・商工会議所に、落ちた理由を確認することをおすすめします。具体的な理由は教えてもらえない場合もありますが、一般的なアドバイスは受けられることが多いです。
マル経融資の審査に落ちる主な理由としては、以下のようなものがあります。
- 税金の滞納がある:まず滞納分を完納することが必要です
- 他社借入が多い:借入を整理し、返済実績を積み重ねましょう
- 赤字が続いている:経営改善に取り組み、黒字化を目指しましょう
- 事業計画の妥当性に欠ける:計画を見直し、より現実的なものに修正しましょう
- 信用情報に問題がある:延滞の解消など、信用情報の改善に努めましょう
審査落ちの理由を把握し、改善した上で再度申し込むことで、次回は審査に通る可能性が高まります。経営指導員と相談しながら、改善策を講じていきましょう。
対処法②:商工会の提携ローンを検討する
マル経融資の審査に落ちた場合でも、全国商工会連合会や各地の商工会議所が提携している民間金融機関のローンを利用できる場合があります。
商工会議所の「メンバーズビジネスローン」は、商工会議所と民間金融機関が提携して提供している融資制度です。マル経融資ほどの低金利ではありませんが、商工会議所の会員であれば、通常よりも優遇された条件で融資を受けられる可能性があります。
また、一部の商工会・商工会議所では、地元の信用金庫や信用組合と独自の提携ローンを提供している場合もあります。お住まいの地域の商工会・商工会議所に、利用できる融資制度がないか確認してみてください。
提携ローンのメリットは、商工会・商工会議所が窓口となってくれるため、金融機関との交渉がスムーズに進むことです。経営指導員に相談すれば、最適な融資制度を紹介してもらえるでしょう。
対処法③:自治体の制度融資を活用する
制度融資とは、自治体が金融機関に預けた資金を原資として、中小企業に低金利で融資を行う制度です。
制度融資のメリットは以下の通りです。
- 低金利(自治体によっては金利の一部を補助)
- 信用保証協会の保証付きで融資を受けられる
- マル経融資の条件を満たさない事業者でも利用できる場合がある
ただし、制度融資を利用する場合は、信用保証協会への保証料が必要となります。また、審査に時間がかかることもありますので、余裕を持ったスケジュールで申し込んでください。
制度融資の内容は自治体によって異なります。お住まいの都道府県や市区町村の中小企業支援窓口に問い合わせるか、商工会・商工会議所に相談してみてください。
対処法④:ビジネスローンを検討する
緊急に資金が必要な場合は、民間のビジネスローンを検討する方法もあります。日本貸金業協会に登録された正規の貸金業者であれば、安心して利用できます。
ビジネスローンのメリットは、審査がスピーディーで、最短即日〜数日で融資を受けられる点です。マル経融資のように6ヶ月以上の準備期間は必要ありません。
ただし、ビジネスローンには以下のようなデメリットもあります。
- 金利が高い(年5%〜18%程度)
- 融資限度額が低い場合がある
- 短期間での返済を求められることがある
ビジネスローンは「つなぎ資金」として一時的に利用し、状況が落ち着いたらマル経融資や制度融資に借り換えるという方法も考えられます。
なお、いわゆる「闇金」には絶対に手を出さないでください。法外な金利を請求されたり、違法な取り立てを受けたりする危険があります。必ず正規の登録業者を利用するようにしてください。
よくある質問
マル経融資や商工会・商工会議所に関して、よくいただく質問にお答えします。
Q1. 商工会と商工会議所の違いは?どちらに相談すべき?
A: 商工会は主に町村部、商工会議所は主に市区部に設置されています。事業所の所在地に合わせて選んでください。
商工会は「商工会法」に基づいて設立された団体で、主に町村部の小規模事業者を支援しています。一方、商工会議所は「商工会議所法」に基づいて設立され、主に市区部の中小企業を支援しています。
どちらも中小企業や個人事業主の経営支援を行っており、マル経融資の推薦も両方で受けられます。基本的には、事業所の所在地を管轄している方に相談すれば問題ありません。
同一地域に両方が存在することは原則としてありませんので、迷った場合は「○○市(町・村)+ 商工会」または「○○市 + 商工会議所」で検索してみてください。
Q2. 商工会に加入していなくても融資は受けられる?
A: マル経融資を受けるためには、商工会または商工会議所への加入と、6ヶ月以上の経営指導が必要です。
商工会や商工会議所に加入せずにマル経融資を受けることはできません。マル経融資の条件として「商工会・商工会議所の経営指導を6ヶ月以上受けていること」が定められているためです。
ただし、商工会・商工会議所への入会自体は比較的簡単です。入会金と年会費を支払えば、ほとんどの事業者が加入できます。融資を検討している方は、まず商工会・商工会議所に相談して、入会手続きを進めてください。
Q3. 赤字でもマル経融資は受けられる?
A: 赤字だからといって必ず審査に落ちるわけではありませんが、黒字の場合よりも審査が厳しくなる傾向があります。
マル経融資の審査では、事業の将来性や返済能力が重視されます。赤字が続いている場合、返済能力に不安があると判断される可能性があります。
ただし、赤字の理由が一時的なもの(例:設備投資のため、新規事業立ち上げのため)であり、将来的に黒字化の見込みがある場合は、融資を受けられることもあります。
赤字の状況でマル経融資を申し込む場合は、以下の点を明確にした事業計画書を作成することが大切です。
- 赤字の原因は何か
- どのような改善策を講じているか
- いつ頃黒字化する見込みか
- 融資を受けることでどのように事業が改善するか
経営指導員と相談しながら、説得力のある計画を作成しましょう。
Q4. マル経融資の審査期間はどのくらい?
A: 申し込みから融資実行までは、通常3〜4週間程度です。ただし、6ヶ月以上の経営指導期間が別途必要です。
マル経融資の流れを時系列で整理すると、以下のようになります。
- 商工会・商工会議所への加入・経営指導開始:6ヶ月以上
- 融資申し込み〜審査会での推薦:1〜3週間
- 日本政策金融公庫での審査・面談:1〜2週間
- 融資実行:数日〜1週間
つまり、商工会・商工会議所に相談してから融資を受けるまでには、最低でも7ヶ月程度かかると考えておいた方がよいでしょう。
「今すぐ資金が必要」という場合には、マル経融資は向いていません。その場合は、メンバーズビジネスローンや制度融資、ビジネスローンなど、他の資金調達方法を検討してください。
Q5. 創業1年未満でも商工会から借りられる?
A: マル経融資は原則として創業1年以上の事業者が対象です。創業間もない方は「創業支援融資保証制度」などを検討してください。
マル経融資の条件として「同一の商工会・商工会議所の地区内で直近1年以上事業を営んでいること」が定められています。そのため、創業して1年未満の事業者は、原則としてマル経融資を利用することができません。
創業間もない事業者向けの融資制度としては、以下のようなものがあります。
- 創業支援融資保証制度:商工会議所と信用保証協会が連携した制度。創業5年未満の事業者が対象。
- 日本政策金融公庫の新創業融資制度:創業前〜創業後2期以内の事業者が対象。
- 自治体の創業融資:都道府県や市区町村が提供する創業者向けの融資制度。
これらの制度については、商工会・商工会議所で情報を提供してもらえます。創業を検討している方も、まずは商工会・商工会議所に相談してみてください。
まとめ:商工会からお金を借りるなら早めの準備がカギ
本記事では、商工会や商工会議所を通じてお金を借りる方法について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
今すぐ資金が必要な方
→ メンバーズビジネスローン、制度融資、ビジネスローンを検討
- マル経融資は6ヶ月以上の準備期間が必要なため、緊急性の高いケースには不向きです
- 商工会・商工会議所に相談すれば、状況に合った融資制度を紹介してもらえます
6ヶ月以上待てる方・低金利で借りたい方
→ マル経融資がおすすめ(最もお得)
- 無担保・無保証人・低金利(年2.0%前後)で最大2,000万円まで借りられます
- 経営指導を受けながら事業を改善できる副次的なメリットもあります
確実に融資を受けるための3つのポイント
- 早めに商工会・商工会議所に相談する
資金が必要になる6ヶ月以上前から準備を始めましょう。経営指導を受けながら、事業の改善と融資の準備を同時に進められます。
- 経営指導員との信頼関係を築く
定期的に経営相談に訪れ、アドバイスを実行に移すことで、審査会での推薦が力強いものになります。
- 事業計画書をしっかり作成する
資金使途を明確にし、返済計画の根拠を示すことで、審査担当者を納得させる計画書を作成しましょう。
商工会や商工会議所は、中小企業や個人事業主の強い味方です。融資の相談だけでなく、経営全般についてのアドバイスを受けられますので、ぜひ積極的に活用してみてください。

